267: ◆7SHIicilOU[saga]
2015/04/11(土) 22:29:15.00 ID:w9AmMV19o
「ちょっと……泣かないでよ」
抱きしめて見える世界は滲んでいて、ぼやけていて、
廊下の壁と、扉。そしてにこっちの背中だけが歪んだ輪郭を浮かばせて。
だからなのかにこっちの声も滲んで聞こえて。
「もう……馬鹿、あんたが泣いてたら……私まで……」
ウチの背中に、細っこいにこっちの腕がまわる。
小さく力の籠められた腕に押し出されるように、――また、涙がこぼれた。
結局その日は、馬鹿みたいに二人で泣いて
にこっちの妹さんが玄関から顔を出すまでそのまま抱き合っていた。
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