過去ログ - 女「今日は楽しかったね」男「え!?誰!?何!?」
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17:1 ◆h/8ygxZQYA[saga]
2014/08/30(土) 03:59:46.38 ID:oASW+o+k0

目の前を歩く人々も景色も透明になった。

向かいの木の下に立つ彼女だけが鮮やかに色を帯び、男の視覚を支配した。


「本当に居た……」


半信半疑のまま探していた男の視線の先、この間のバス停で出会った彼女が確かにそこに立っていた。

信じられない思いのまま、木に寄り掛かり待つ彼女の元へ無言で近付く。

伏し目気味だった彼女が顔を上げた瞬間、男に気が付いたのかその表情に笑みが指す

照明があるとはいえ薄暗い外の木の下に居るにも関わらず、彼女の表情まではっきりと読み取れた。


バックを持つ手を小さく振り、近付く男に微笑み掛けた。


「ごめんね。私が遅れちゃった」


男が目の前に立つと、彼女は軽く首をすくめながら謝った。


「いや、いいんだけど……」


待ち合わせをしていた事を成すがまま受け入れた。

自分が知らない相手との身に覚えの無い約束、そんな状況に混乱しながら、不自然さが一切無い彼女の態度に、解っていない自分の方が悪いかと、罪の意識さえ感じた。


「ちょっと歩こっか?」


彼女は木から離れると、クルッとこちらを向き笑顔で問いかけた。

バックを後ろ手に持ち、満面の笑顔で話し掛けてくる彼女の顔を見て男は何も言えなくなった。


「あっ、うん」




手を伸ばせば届きそうな満点の星空の下、マリーナのデッキに二人の影が映る。

波の音だけが静かに響いていた。

歩きながら男は必死に記憶を辿っていた。


どうしても彼女の事が思い出せないで悩みながら歩き続ける。




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