過去ログ - 律「澪と寄り道して帰る話」
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30:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/30(土) 18:01:56.07 ID:Gqx9SXLWo

 軽はずみで大好きな人とそうしたのをすぐ後悔した。
 あれは、想像した以上だった。
 直に伝わる息や唇の濡れ方で頭の奥が焼き切れて、
 真っ暗にも真っ白にも感じた。

 制服のシャツ越しに近づける限り近づきたくて
 必死で澪の背中にしがみついて柔らかい熱を重ね合わせた。
 どうせもう二度とこんなことできないんだからって
 一生分の想いで
 澪に近づこうとした。

 だからあいつの細い腕も私の背中へ回ったとき、
 たとえその瞬間の錯覚だったとしても
 うれしさが身体の奥からあふれて、
 羽根が生えて空に飛んでいけるような、
 足下がおぼつかないほどのめまいに包まれて、
 息が続かないほど
 熱く唇を押しつけ合った。
 もう嫌われていい、絶交されていい、って言い聞かせながら。

 私のことを一度引き離した澪は、泣きそうな顔で目を腫らしていて、
 私の汚い唾液を垂らしたままで、
 一瞬あいつが世界の果てまで遠ざかってしまった気がして
 思わず自分の舌の肉を噛んだとき、
 澪がこの唇に
 もう一度吸い付いた。
 クーラーで冷えた背中の汗を熱い腕が覆って
 涙がにじみ出るのを感じた。

 澪が、私の方に降りてきてしまった。


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