過去ログ - 律「澪と寄り道して帰る話」
1- 20
70:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/30(土) 22:43:47.52 ID:Gqx9SXLWo

 光に慣れない目がまぶしかったせいだ。

 マックの弱い灯りでも、一瞬よく見えなかった。
 私の大事なひとが、
 妙に真面目な顔してテーブルの奥でなにか手遊びをしている。
 明け方マックの淡い光に照らされて、ここからだと手先までは見えない。

 それだけなのに、
 その瞬間 その姿がなぜかとても 神聖な幻覚のようにみえた。

 空間を満たしていたゆるいBGMがちょうど途切れて、
 柔らかい光が蒸気のようにたちこめたままで、
 曇りガラスごしに水を浴びる愛するひとの
 存在や重さを感じ取るみたいな、
 なんだろう、
 とにかくとても尊いもののだと思ったんだ。

 わかってた、錯覚だって頭は言ってた。
 澪の癖だって知ってた。
 だけど、
 テーブル下の暗いとこで
 この身体をつつむ膝やおなかの慣れきった温もりにひたって、
 今だけはまぼろしの答え合わせをしたくなかった。

 私は時を止めたかったんだ。
 こんな気持ち、神様にだって伝わりっこないけれど。

 でも、終わるんだ。
 こんな時間は。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
98Res/65.84 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice