83:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/30(土) 23:12:42.13 ID:Gqx9SXLWo
ほら、行くぞ、注文だと思われるから、
なんて手を引こうとしたのに
指先だけ触れたまま一歩も動けなかったのは、
私だってここを立ち去るのが名残惜しかったから。
あは、マックなんてどこにでもあるのに。
私たち、どこ行っても変われやしない。
「ねえ律、来年またここに来ようよ」
「……その頃には、ハリネズミ売り切れてるよ」
そうじゃないって、と澪を笑わせる私。
でも澪は、
ここが二人で来た一番遠いとこだから、って。
ここが世界の果てだからって。
そんなことをレジの近くで言うからこっちが恥ずかしくって
とりあえず外出ようよ、
って先にドアの向こうに歩み寄った。
自動ドア、反応が遅くていらつく。
外が明るくて消えかけてたガラスに映る自分の顔、
開いたドアで分かれて一瞬で消える。
顔にふれる外の風、思ってたよりも涼しいのがよかった。
指二本ほどでつながってるあいつの手を引いてアスファルトに足を踏み出す。
と、その足が空を踏んだ。
よろける。
手をついて掴まる場所もない、バランスを崩した私の脚は――
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