過去ログ - 櫻井桃華「あら、あなた忘れ物をしておりますわよ?」都築圭「ごめん、静かにして」
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[saga]
2014/09/21(日) 12:07:08.99 ID:mWnPwJSv0
桃華「……」スッ
圭「ん……」スッ
演奏は終わった。言葉は発せず、二人は握手を交わした。
半身への感謝と労わりと称賛が、すべてその掌には込められている。
桃華「やっと……理解できましたわ。あなたが見ている景色」
圭「そう」
桃華「練習するたび、横にいるアナタを想像いたしました。連弾を重ねる度、あなたの意思を感じました」
桃華「どうすれば合わせられるか、どういう演奏がわたくしたち二人のピアノか、ずっと考えておりました。それであの独奏を断ちきる時は……『止めないと』と、思って私の指が独りでに鍵盤を叩いておりました」
圭「……そっか」
桃華「それはきっと、あのソロの時、圭さんがどんな心情で奏でているかを理解できていたからですわ」
圭「僕達、どんな感じだった?」
桃華「そうですわね、端的に申しますと――『傷ついた子どもの痛々しい泣きべそ』、かしら? 見てられませんでしたわよ」
圭「うん。だから君が必要だったんだ」
桃華「……そう。ふふっ、欲張りな人ですのね、アナタは」
圭「欲張り、かい?」
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