3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)
2014/08/30(土) 23:48:04.35 ID:HXqGoQR30
脚が震える。その震えを自分で制御できない。
でも、それは、この嵐のせいじゃない。黒くうねる足下の海のせいじゃない。
叩き付けるような雨のせいじゃない。身を切るような寒さのせいじゃない。
何で、こんなことに。
単純な、海上護衛任務のはずだった。海は荒れていたけど、慣れた任務だったから、大丈夫だと思っていた。やり遂げる、確かな自信があった。
でも、現実はそうじゃなかった。
辺りには、輸送船団が運んでいた様々な物資が浮いている。至る所で、無惨に引き裂かれた船の残骸が燃えていた。
仲間の姿も見えない。沈んだのかどうかすらわからない。
雷が落ちた。一瞬、闇の中に、『それ』の姿が浮かび上がる。
艦娘と同じ人型。この海域にいるはずのない『それ』。
突然現れ、全てを破壊した『それ』は、ゆっくりとこちらを見た。
私は、動かなかった。動けなかった。眼前一杯に『それ』が広がるのを、震えて見ていた。
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