過去ログ - 苗木こまる「雨はハレ」
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77: ◆N7YbsBIT3ELs[saga]
2014/09/01(月) 23:12:45.03 ID:UDVM4aPw0

「そろそろ行くわ。こまぴーも早くずらからないと、面倒くせえことになるわよ」彼女は、とんとん、と靴の爪先で床を叩いた。

「わたしは、ちょっと、ええと」

「あ?何よ。はっきり喋んなさいよ、はっきり」言ってからジェノサイダーは、黒い痣のできたわたしの脚を、じろりと見た。

「あっ、いや、ええと、もう立てます」

「しゃあねえなあ」ジェノサイダーは頭をがしがしと掻くと、わたしの手足を引っ掴み、強引に背負った。

「あの」

「ごたごた抜かすな。突っ走るかんね」

 目の前の惨殺死体を作り上げた張本人であるというのに、なぜか、身体を預けるのに抵抗が無かった。
 彼女の背中は、妙な暖かみがあり、胸の奥がくすぐったくなる感じがした。あなたは人ですよ、と、言いたくなる。だが、今更そんなことは口にできない。彼女を殺人鬼殺しにしたのは、わたしだ。

「行くわよ」

 わたしを負い、彼女が駆け出した。




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