過去ログ - 【咲-Saki-】京太郎「俺は一番になりたい」桃子「先は長いっすねぇ」【安価】
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◆uyhWeNAxHY
[saga]
2014/10/19(日) 15:20:33.69 ID:3WkJMb/Po
呆気に取られているだろう
こいつは何を言っているんだろうと
困惑しきりなのだろう
小さく口を開けて俺をまじまじと見る
松実(妹)さんの視線から逃れるようにして
俺は目線を外すと、手持無沙汰から頬を掻く
……やっぱり俺自身、何も変わっちゃあいない
ここに在る熱を伝えようにも、できなくて
並びたてられるのは空虚な言葉ばかり
本当はこんなはずじゃないのに、という言葉が
これほど身に染みて実感できてしまうことも
そうそうはないだろう
やはり俺は、ちっぽけな人間でしかない
ちょっと不思議な芸当ができるだけのただの人
雑踏に紛れてしまえば他と見分けのつかなくなるような
どこにでもいる、ありふれた、ただの人間
玄「……ごめんなさい」
局所的な沈黙、重たい空気を破ったのは
松実(妹)さんの小さな声だった
玄「正直言うとね、須賀君の言っていることは」
玄「私にはよく分からないかったの」
やはり伝わってはいなかったか、などと落胆はしない
それも承知の上で俺は言葉を紡いで、彼女にぶつけたんだ
こういう結果になって返ってきても不思議ではない
だけどもやっぱり
気持ちに完全な翳りがないかと問われれば
ないとは言えないんだよな……
結局自分は無力なんだ、と
何も変えることはできないんだ、と
認めてしまうことになるんだからさ
玄「でも――」
京太郎「……?」
だが、松実(妹)さんの言葉はそこで終わらなかった
不意打ち気味に繰り出された声に
俯きがちになっていた顔が自然と上がり
彼女の方へと向かっていく
松実(妹)さんは目を閉じて両手を胸に当て
玄「『そんなことないって』言ってくれた」
玄「『大切なものなんだって』言ってくれた」
玄「お母さんとの思い出を自分で否定するのは『哀しいことだって』」
玄「――気付かせてくれた」
玄「それはとても、とっても、嬉しかった」
そう言うと、ゆっくりと笑いかけてくれた
揺れる髪だとか、眩しいほどの微笑みだとか
そういう何もかもをすっ飛ばして
本当にたったそれだけのことなのに
全部が報われた気持ちになってしまう俺はやはり
愚かで、ちっぽけで、浅はかな――人間なのだ
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