過去ログ - 【咲-Saki-】京太郎「俺は一番になりたい」桃子「先は長いっすねぇ」【安価】
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981: ◆uyhWeNAxHY[saga]
2014/10/23(木) 22:27:31.82 ID:KQmvUwTjo
 多少の交流はあるかもしれないけれども、自発的にはないだろう
 というわけでそこまで気にすることもなくバスを降り
 全員が降りるのを確認してから蒲原先輩に並ぶ

智美「ごめんなー、こっちの都合で早めに終わっちゃって」ワハハ

灼「いえ……。押し掛けたのはこちらなのに」

灼「丁重に持て成していただいて、感謝してます」

智美「わはは。それは渡りに船って奴さー」ワハハ

智美「こっちもいい経験をさせてもらったしなー」ワハハ

 チラ、と蒲原先輩は横目で俺を見る

 ここは俺も何か言うべきなのか
 ふと湧きあがった使命感に突き動かされるように
 両手と両足を揃えて俺は軽く頭を下げた

京太郎「先輩の言う通りです。こちらこそありがとうございました!」

 こうして今、俺たちと一緒に活動しているから
 ついつい忘れがちになるけど
 先輩はもう引退した身なんだ 
 麻雀部を……鶴賀麻雀部の看板を背負って立つのは
 もう先輩たちではなく、俺たちの役目で
 こうして“他の学校の部長”に頭を下げている間は
 自分が代表になっているんだという自覚からの緊張感で
 ジワジワと手に汗が浮いてきては揉み潰していた

灼「そう言ってもらえると助かります……」

 この時ばかりは対外的な応対なのか
 丁寧な口調で返答した鷺森さんは、俺に倣い一礼
 静かな瞳を備えた顔を上げると、俺に手を差し出した
 その行為の意味が一瞬分からず
 俺は虚を突かれた様にまごついたが
 なんとか先輩にせっつかれる前に鷺森さんの手を握る

 小さくて、すべすべしてて、女の子らしい手
 だけどこちらを握り返す力はしっかりしていて
 鷺森灼という人がどいういう人物なのかを
 如実に表しているようにも感じられた

灼「……秋、期待してる」

 薄く、しっかりと観察しなければわからないほど
 緩やかに笑った鷺森さんはそう言った

 秋

 三年生が完全に引退して
 どこの学校も来年に向けて動き出す季節
 俺にとっては全国へ二度目の挑戦となる、時節

 期待している。それはたぶんその成果のことだ
 今日の経験を無駄にせず、精進しろと――
 それは、殆ど知り合って間もない相手に送るには
 手厚すぎる激励だった。精一杯の手向けだった

 もう彼女らと会うことはないかもしれない

 だけど、こうして歩いて来た道が交わった過去は無くならない
 これまでの記憶と同様に、経験として積み重なっていく――

京太郎「はい!」

 胸にあるのは万感の思いと、無上の感謝
 彼女たちにとっての俺は、道端に現れた脇役の一人に過ぎない
 この先ずっと続いていくであろう道ですれ違う
 想定内の出会いの一つでしかない

 それでも、その一つを少しでも大切にしようと
 言葉はなくともそう示してくれたことに感謝を込めて
 俺は力強く返答をした



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