過去ログ - 【モバマス×ニンスレ】「ライク・シング、ライク・ダンス」
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2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/09/02(火) 22:22:48.87 ID:fyve8FF0o
黒々とした雲がうろこ状になって浮かび、赤く不気味な月を朧げに滲ませている。

平安時代の詩聖にしてアイドルプロデューサーであるミヤモト・マサシならばこの空気をポエットに書き残しただろう。

だが今はマッポーの世だ。
以下略



3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/09/02(火) 22:25:34.56 ID:fyve8FF0o
代わりに人々の心を癒やすのはアイドルたちだ。

街のどこかからうら寂しい空を切り裂いて13色のサーチライトが踊っている。

1色1色が765プロダクションのアイドルのイメージカラーであり、また街のどこかでライブを開いているのだろう。 2


4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/09/02(火) 22:27:33.76 ID:fyve8FF0o
光の根本では常夜灯が輝き、街を不夜城に変えている。

灯りの1つ1つの元にサラリマンがいて、終わることのない仕事に追われているのだろう。

それは実際彼らの命が燃えているような儚い瞬きだった。 3


5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[sage]
2014/09/02(火) 22:28:44.79 ID:0xopa/TO0
あっニンジャだ!



6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/09/02(火) 22:36:08.15 ID:fyve8FF0o
サギサワ・フミカはそんなセンチメンタルなことを思いながら、自分もまたその灯の1つであることに気づく。

窓際に座ったその大理石めいた白い肌は部屋のすぐ側の毒々しいネオンに彩られている。

自室の電気は消され、手にした本を広げたまま、何時間も外の景色を見つめ続けていた。 4


7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/09/02(火) 22:42:32.06 ID:fyve8FF0o
時にサギサワはこうして何時間も物思いに耽ることがあった。

それでも最近は特に多く、毎日のように眠る時間を削ってまで、夜景を眺めながら考え事をするのだった。 5


8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/09/02(火) 22:46:43.69 ID:fyve8FF0o
その原因は、夜毎にニューロンの網にかかる記憶によるものだった。

交わしたことのない会話、作ったこともない笑顔。

自分に微笑みかけてくる、見知らぬが、しかし、どこか懐かしい顔。
以下略



9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/09/02(火) 22:50:52.29 ID:fyve8FF0o
……ミヤモト・マサシのコトワザだよ。エート、ホラ、なんて言ったっけ?」

「私に聞かれてもわかりかねます」

「ダヨネー…… 7


10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/09/02(火) 23:03:46.78 ID:fyve8FF0o
サギサワはこうした偽りの記憶に襲われる度に、本で読んだものと自分を納得させ、別人の物語として再構成していた。

そうでもしなければ何故自分の知らない記憶持っているのか、その恐ろしさから逃れることができないのだった。

ビョーキは気分の問題。そうやって自分を納得させていた。 8


11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/09/02(火) 23:06:43.31 ID:fyve8FF0o
……さあ、顔を上げて。前を向いて。そう、良いね。雰囲気があるよ」

「雰囲気がある、と言われても……どんな雰囲気なのかさっぱり……」

「良い雰囲気だよ。遥かにイイ…… 9


12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/09/02(火) 23:12:40.01 ID:fyve8FF0o
だが記憶を順序立てて並べようとする度に、頭の奥で痛みが走る。

体が記憶を思い出すのを拒絶しているかのようだ。

わけも分からず、サギサワは知らずうちに涙を流していた。
以下略



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