過去ログ - 勇者(Lv99)「死にたくても死ねない死なない俺と、殺そうにも殺せない殺したい魔王」
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111:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/09/07(日) 19:57:43.55 ID:cp5pogPl0
 しばらくの沈黙の末、勇者が口を開く。

勇者「……わざとらしいな」

弟「! ……あのっ」

勇者「他言する気はない」

弟「!」

勇者「これで、満足か?」

弟「…やっぱり、気が付いてたんですね」

勇者「……どうやって、神父をごまかしてる?」

弟「……うちは、祖父の時代からずっとこうなんです。 その縁で、目をつぶってもらっています」

勇者「危ういな、小さな村なら誤魔化せるかもしれないが…いつばれてもおかしくない、そうなったら、身の安全は保障できないぞ」

弟「…僕も、姉も覚悟の上です」

勇者「……本当か? 君は見たことがあるのか? 背信者の末路を、俺も何度か見たことがあるが、酷いもんだった」

弟「……っ」

勇者「その時になったら、君たちは後悔するだろう」

勇者「…こんなバカげたことに命をかけるぐらいなら、いっそ入信すればいい、神父とパイプがあるようだし、こっそり洗礼を受ければそれで済む、そうすれば君には神系魔法が効くようになり、その不自由な体も全快…いや、今まで以上に快適な生活ができるはずだ」

弟「……」

勇者「姉に迷惑をかけることもないだろう」

弟「!」

勇者「君が言い出せずにいるなら、俺から言ってやってもいい、そんな不自由な体は苦痛だろう? 」

弟「……」  

勇者「どうした? さきほどから黙っているが、何を悩む必要があるんだ? メリットしかないように思うが?」

弟「……理屈では…ないのです」

勇者「!」

弟「この体が、姉に迷惑をかけていることも知っています、でも……もう知ってしまったから」

勇者「…知った? 何を?」

弟「入信している人たち…女神を信仰している人たちの気持ち悪さ……です」

弟「勇者様は、おかしいと思いませんか? 何かに憑りつかれたように女神を信仰する人たちを……あの姿を見ていると……自分が自分じゃなくなるようで…怖いのです」

勇者「…」

弟「勇者様にこんなことを言って、僕は天罰が下りますかね」

 弟をそういって力なく笑う。

勇者「……そんなことはしないさ、ただ、一つ聞かせてくれ」

勇者「なぜ、俺にこんな話をする気になった? 下手すれば殺されているぞ」

弟「……女神様の使いともいえる勇者様ですけど…なんだか、他の人と違うように見受けられたので…」

勇者「ほかの人と違う? よく意味がわからないな、どういう意味だ?」」

弟「……このどこか変な世界を……勇者様なら変えてくれる……予感……?」

 とぎれとぎれに、何かを確認するように弟は言った。

勇者「…まぁいい、君たちのことは黙っておくさ、それに…面白いこともわかった」

弟「?」

 勇者は立ち上がると、家を出た。


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