過去ログ - 勇者(Lv99)「死にたくても死ねない死なない俺と、殺そうにも殺せない殺したい魔王」
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VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]
2014/09/08(月) 21:03:14.76 ID:YtpFI3Ae0
クレーターの中央、うずくまるように倒れる勇者を見つめ、魔王は目を細める。
勇者「……くそ」
勇者は、理力の剣を杖のように地面に突き立てよろりと立ち上がった。
着弾と同時に回復魔法と防御魔法を連続でかけ続けたが、まったく威力に追いつけなかった。
しかも詠唱する暇がないため、魔力の使用効率は極端に悪い。
そんなことはわかりきっていたことではあるが、それでも、この短時間で想定よりも遥かに多くの魔力を消費してしまった。
もう回復に回す余裕もない。
少し早いが……やるしかない。
魔王「極大暗黒魔法」
勇者「!」
勇者は、全力で地面を蹴る。
着弾する暗黒魔法が再度大地を削り取る。
巨大化する漆黒のドームが、回避運動に入った勇者に迫った。
勇者「――」
勇者は、魔法に飲み込まれぬよう全力で駆ける。
ドームの肥大化が、停止する。
寸でのところで間に合わなかった。
下半身を失いながらも、しかし勇者は理力の剣を構えた。
魔王「!」(勇者のあの位置取り…)
理力の剣が、込められた魔力に呼応して光り輝く。
その銃口の先は―
魔王(やはり気づいていたか)
魔王がいつも、魔王の間から動かない理由。
魔王の間を破壊する魔力が備わっているとわかった瞬間、勇者を場外に追いやった理由。
気づかぬ勇者ではないことはわかっていた。
魔王の間には、何か破壊されては困るものがある。
そう結論付けるのも、自然である。
そしてそれは正解だ。
しかしこれが策と言うのならば――想定内である。
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