過去ログ - 勇者(Lv99)「死にたくても死ねない死なない俺と、殺そうにも殺せない殺したい魔王」
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135:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/09/08(月) 21:18:55.07 ID:YtpFI3Ae0
勇者「……」

 勇者は左手で右手の前腕を支えるように持ち、右腕でまっすぐ構えた銃剣に全魔力を集中させると、再度引き金を絞った。

 銃剣の剣先から放たれる雷を纏った直径10mの円柱状の光線が、大気を焼き切りながら魔王城へ向け突き進む。

魔王「!」

 対し魔王、右掌を空へ突出し、漆黒の波動を放つ。

 直線状に突き進むビームと、不規則に歪みながら大気を犯すように突き進む波動が、空中で激突した。

勇者・魔王「……ッ」

 激突点を中心に球状に混ざり合う光と闇。 際限なく放たれるビームと波動のエネルギーを前に形状を保てず、勇者と魔王を隔てるように波紋状に拡散してゆく。

 波動を放出し続ける魔王、その足場がひび割れ、やがてクレーター状に窪んだ。

 ビームを放出し続ける勇者、その引き金を絞ったままの腕の皮膚が裂け、血が噴き出した。

 鼻血、吐血、目や耳からも血が噴き出す。大気に放たれた血は瞬く間に蒸発する。

 規格外、特大の魔力を一気に長時間放出することに、体が耐えられないのだ。

 理力の剣に、ヒビが走った。

 勇者は歯を食いしばる。目の前が真っ赤に染り、やがて何も見えなくなった。

 耳は音を失い、触覚もあいまいになる。

 今、確かに感じるのは魔力を放出し続けているという感覚だけだった。

勇者「ぉぉぉォぉおおおおおおおおおオオオおおおおおォおおーーっッ!!!

魔王「……!」

 魔王の膝が折れた。

 魔力が、底を尽きかけていることを悟る。

 前半戦での、浅はかな魔力の消費。

 それに加え、魔王の間を庇いながらの戦闘は、勇者よりもはるかに魔力を消費したのは間違いない。

 いや、それ以前に、左腕を失ったことも大きかった。

 完全に――読み負けた。

 だが――

 だが――っ

 魔王の脳裏を、自分を嘲る魔王達の顔が掠めた。


 こ の ま ま で は 終 わ れ な い


 波動がビームに押し負け、散る。

 大地に着弾した雷光線は、瞬く間に大地を削りながらドーム状に広がり、魔王城を光で覆い尽くした。

抵抗の消滅を感じた勇者は、引き金を絞る指の力を緩めた。

 体が落下する。



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