過去ログ - 勇者(Lv99)「死にたくても死ねない死なない俺と、殺そうにも殺せない殺したい魔王」
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30:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/09/04(木) 20:39:16.47 ID:lZn7fQPP0
 戦士、魔法使いが来るのを待った勇者であったが、一向に来る気配はなく、城から派遣された兵士が勇者を迎えに来たため、勇者は後のことを神官に任せ、一時城へ向かうこととした。

 会議室

 楕円型のテーブルを囲むように、国の重鎮たちが勇者の話に耳を傾けている。

 勇者は、魔王城への旅路や、魔王と実際に戦った経験を通して話をした。

勇者「……五年の旅の中でまず感じたことは、魔王城へ近づくにつれ、魔物が強くなっているということでした」

勇者「その疑問も、魔王と戦闘をした今ならば理解できます、おそらく魔王城を中心に魔族を強化する空気のようなものが放出されているためでしょう、つまりあの、私たちを蹂躙する力を持つ魔王も、城から離れてしまうと本来の力は出せないと考えられます、そうでないのなら、魔王自らが世界を滅ぼすこともできたはずです。加えて、魔王城から最も遠いこの国がもっとも被害が少なかったことも説明できます」

参謀長「しかし、弱体化するといってもどの程度なのか、君たち勇者一向を屠る力など、弱体化したところで我々にとっては脅威以外のなにものでもない」

勇者「そうですね……しかし、ここで魔王にはもう一つの問題が発生します」

参謀長「もう一つの問題?」

勇者「ええ、魔族との戦闘中にも感じたことなのですが、魔王と直に戦ったことで確信しました。魔族は、神系の魔法を使うことができない」

参謀長「神系の魔法……回復魔法……空間移動魔法のことか」

勇者「そうです、拷問を受けている最中、魔王の姿を確認しましたが、私たちとの戦闘で受けた傷はまだ残っていました。この事実からも信憑性はかなり高いです。傷を治さない理由はありませんからね。 つまり神系魔法である転移呪文を持たない魔王は、ここまで攻め込むには自分の体で行くしかない。おそらく魔王城からこの国まで、どんな移動手段を用いようと1年は要すると考えられます。しかしこちらには空間移動魔法がある、魔王が留守にしている間に魔王城を落とされるリスクを、魔王が犯すとは考えずらいかと」

参謀長「うむ……では仮に、軍を率いて魔王が攻めてきたとして、その戦闘能力はどれほどになると考えられるか?」

勇者「オルガの感染能力から割り出せるのではないかと、思っています、参謀長、オルガの感染率は、魔王城から近い町と、この国でどれほどの差がありましたか?」

参謀長「確認できる範囲ではおおよそ、1000分の1ほどであったと記憶している」

勇者「だとすれば……国の全軍でなんとか対応できるレベルではないかと思われます」

参謀長「うむ……なるほどな、ならばさっそく準備に取り掛かるとしよう」

勇者「…では、私はこれで」

王「待て、勇者よ」

 今までずっと黙って話に聞き入っていた王が突然口を開いた。

勇者「は」

王「これから、どうするつもりなのだ?」

勇者「どう……と言われましても、まず教会へ行き、仲間の安否を確認します、もしまだ戻ってこないようならば、今すぐにでも転移魔法で乗りこみ、仲間を助け、そして魔王を討つつもりです」

王「…女神様の加護の効力は、すでに限界を迎えていると聞いているが」

勇者「…はい、その通りです、一か月前、教会でお告げを聞き、もうこれ以上強くはなれないと告げられ、それは先ほどお告げを聞いた時も同じでした」

王「さらに言えば、伝説の装備もすべて失ったのであろう?」

勇者「はい、装備をすべて外された状態で転生したので、今、私のもとに伝説の装備はありません」

王「…また捕まったらどうするつもりなのだ?」

勇者「もちろん、策があります」

王「う……うむ…」

勇者「もう行っても?」

王「…うむ……武運を祈っておる」

勇者「はっ、見事魔王を倒して見せます」

 勇者は一礼すると会議室から出て行った。

王「……」


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