過去ログ - 勇者(Lv99)「死にたくても死ねない死なない俺と、殺そうにも殺せない殺したい魔王」
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2014/09/03(水) 00:13:46.67 ID:0i+UKr460
魔王「ふむ、なかなかやるな」

 魔王の周囲に、野球ボールほどの大きさの光球が三十ほど召喚される。

勇者「!」

 魔王が手を振るうと同時、光球が、四人それぞれへ向け迫る。

勇・戦・魔・僧「っツ!」

 四人がそれぞれ音速の回避運動に入る。 それを追尾する光弾。

戦士「なっ」

 迫る8つの光弾、その内の一つに戦士は斧を振り下ろした。 着弾、同時に爆発、その爆発は残りの光弾にも誘爆し、戦士は爆炎の中に包まれた。

勇者「戦士! くっそ」

 勇者は、体を錐もみさせながら跳躍し、紙一重で迫る10の光弾を避けると、自身を通り過ぎた光球めがけ雷撃呪文を放つ。呪文の衝突により、10の光球が同時に炸裂した。

 光球の爆風に吹き飛ぶ体の舵を取り、なんとか着地する。視界の隅で、魔法使いが僧侶と自分に迫る光球を、勇者と同じ要領でやり過ごすの確認する。

魔王「」

勇者「!!」

 背後に走る悪寒に、勇者はとっさに背面へ向け伝説の剣を振り抜く。

 刃が空を切る、その切っ先の数センチ先に魔王の余裕の張り付いた顔があった。

勇者「――〜〜ッ!!」

 勇者は左手をかざし、雷撃呪文を放つ。

 対し魔王は、暗黒呪文で応じた。

 至近距離で二つの呪文が激突する。 鋭い雷鳴と光が辺りを包み込み、その後訪れる衝撃波に勇者の体が吹き飛んだ。

 体が地面をバウンドし、転がり、やがて停止。 停止と同時、呪文を撃った左手に激痛が走る。

 見れば、腕がなくなっていた。

 ほぼゼロ距離からの勇者専用魔法と魔王専用魔法の激突だ、これぐらいで済んでむしろ運が良かった。

 そう思考すると同時、勇者は同じ条件であった魔王を見、顔をしかめた。

 魔王は涼しげな顔をして、先ほど勇者がいた場所に直立している。

 僧侶の回復魔法で、黒焦げになった戦士の体と、勇者の失った左腕が再生した。

魔王「どうした? こんなものか?」

 魔王はその余裕ゆえか、声をかけた。

勇者「……く」

 勇者は、顔をゆがめる。

 強い……今まで戦ったどんな敵よりも……これが魔王

 女神の加護を授かった自分達をまるで相手にしていない。

 しかし……どうにも引っかかる。戦闘前の言葉もそうだが、今の魔王の戦いぶりだ、たとえば先ほどの魔法使いの疾風呪文に対して、あの暗黒魔法を使えば、貫けたはずだ。 なぜ相殺を選択した? というより、なぜ人型のまま戦うのか。 この最終局面で本気を出さない理由などどこにもないはずなのに……




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