過去ログ - 勇者(Lv99)「死にたくても死ねない死なない俺と、殺そうにも殺せない殺したい魔王」
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[sage]
2014/09/03(水) 00:17:04.92 ID:0i+UKr460
勇者「!」
一瞬で勇者の目前に移動する魔王、その手刀と、勇者の剣が激突する。
魔王(何か感づいたか?)
勇者「――ッっ」
勇者は、思考を中断し、魔王との鍔迫り合いをやり過ごすと、後方に跳び、魔王と距離をとる。そして皆に目配せする。
戦・魔・僧「!」
三人の仲間達は、その目配せから読み取ったのか、勇者へ手をかざした。
三人の魔翌力が勇者に注ぎ込まれる。
勇者の体から魔翌力がほとばしる、頭髪が発光し重力に逆らうように逆立った。
魔王「!」
魔王の眼前に伝説の剣が迫る。
今までとはくらべものにならない圧倒的な初速で、繰り出されたそれを、魔王は屈むことで避けた。
続く第二閃、勇者によって放たれるそれは、やはり今までの比でない速度と威力をもって魔王に迫る。
魔王は魔翌力を腕の前腕に集中させ、繰り出されるそれを腕をクロスさせることで防いだ。
しかし、その威力を相殺できず、体が大きく後方へ吹き飛ぶ。
続く三閃、音速の空中滑空の最中迫るその閃撃を、魔王はまたしても前腕で防ぐ。
魔王「……!」
四閃、五閃、六閃、刹那の間に繰り出されるその攻撃を魔王は腕の挙動のみで対処しきった。
吹き飛ぶ魔王と並走する勇者によって振るわれる剣撃と、魔王の腕撃の激突により、二人の通る空間には漆黒と稲妻の衝撃波だけが取り残され。まるで二人を追従するように次々と爆ぜてゆく。
魔王の背が壁と激突する、それによって停止する体の滑空、目前には、伝説の剣による刺突が迫っている。
対し魔王は、両の手の平で白刃取りした。
勇者「!」
白刃取りの衝撃波が黒と雷の魔撃を放出しながら波紋上に周囲を駆け抜けた。その中心、勇者の腹部に、魔王のつま先がめり込む。
勇者「……ッ」
魔王に蹴り上げられ、上空にかちあげられる勇者。
同時、戦士が投射したアックスが、僧侶の極大呪文が、魔法使いの極大呪文が―
―三方から魔王へ迫る。
対し魔王は、漆黒の魔翌力を周囲に球体状に展開し、魔翌力のバリアを張った。
すべての攻撃が、魔王へ届くことなく、バリアに阻まれる。
勇者「究極皆雷撃呪文」
魔王(詠唱時間を稼ぐことが狙いか)
勇者を纏っていた魔翌力が、一瞬にして体から離れ、周囲に拡散する、そして勇者の掲げた手のひらに収束、まるで光線のような極太の雷撃が、雷速でバリアを貼った魔王へと降り注いだ。
魔王「……!」
勇者の全魔翌力を放出した一撃が、魔王のバリアを吹き飛ばし、魔王に直撃する。
光のドームに包まれる魔王。
やがて光が拡散する。
同時、着地する勇者。
勇者「……くそ」
勇者は着地と同時、顔を歪めた。
そこには、傷つき、口の端から血を流しながらも、直立する魔王の姿があった。
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