過去ログ - 勇者(Lv99)「死にたくても死ねない死なない俺と、殺そうにも殺せない殺したい魔王」
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69:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/09/06(土) 22:48:25.14 ID:wtpJ9iTZ0
魔界――大魔王城、大魔王の間

 巨大な王座に鎮座する、大魔王に対して魔王はひざまずいた。

 赤い体、5メートルはあろうかという巨体を持つ大魔王は、じっと魔王を見つめた。

大魔王「魔王…なぜ呼ばれたかわかるか?」

魔王「……私の魔力が弱まったからでしょうか?」

大魔王「そうだ、その姿は、どうした?」

魔王「…勇者との戦いで負った傷です」

 プッと吹き出すような声が、大魔王の横で上がった。

魔王「…何か?」

 魔王は、視線を横へ向ける

 大魔王の左右に扇状の列を作っていた計11人の内の魔族の一人、女の魔王と目が合う。

女の魔王「いえ失礼、まさか人間ごときにここまでやられるなんて、とんだ王族の恥さらしだと思いまして」

銀髪の魔王「そういってやるな、こいつは俺達の中でも最弱、落ちこぼれだ、むしろよく生きて戻ってこれたとほめてやるべきじゃないか?」

女の魔王「まぁおなんて寛大な、でも確かに…その通りですわね」

 嘲笑の目を向けながら、女の魔王は口を閉じた。

魔王「……」

 魔王族、12人の魔王と、1人の大魔王の計13名のみ存在する種族である。

 先ほどの女の魔王と、銀髪の魔王が言ったことは事実であり、13名の魔王族で最弱の魔王である自分に、何も言い返すすべはない。 魔王族で最も弱いのも事実、人間に傷を負わされたのも事実。 反論しても、瞬殺される。

 屈辱に右手を握りしめ、魔王はただ耐える。

 それほどの差が、自分とほかの魔王たちには、ある。

……勇者、余を倒したところで、その先にはさらなる絶望しかないのだ

 おそらくここにいる方々ならば、貴様なぞ、指一本で軽くひねることができるだろう。

 それが12人だ。 何度よみがえり、奇策を施そうが……

大魔王「魔王よ」

 大魔王の言葉に、魔王の思考が途切れた。




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