過去ログ - 勇者(Lv99)「死にたくても死ねない死なない俺と、殺そうにも殺せない殺したい魔王」
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80:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/09/06(土) 23:08:30.23 ID:wtpJ9iTZ0
 うめくような声が響く牢屋、勇者のいる牢が開いた。

 勇者はビクりと、魔王を見た。 今回は一人のようだった。

 勇者の頬はこけ、髪はストレスから白く染まっていた。

 痩せ細った体は常に震えている。 精神状態に異常をきたしているのは明らかだ。

 しかし、信仰は捨てない。

魔王「貴様がここにきて、もう半年か?」

 魔王は、憎々しげに勇者を睨んだ。

魔王「本当の勇者なら、皆を救うため、自己犠牲をするものではないのか?」

勇者「……」

 勇者はただ震え、うつろな瞳を上下させた。

魔王「……」

 そんな勇者の姿に、魔王はため息を吐いた。

魔王「勇者、少し話をしようか」

勇者「!」

魔王「余は、魔界から来た」

勇者「…」

魔王「魔界には、魔王が余のほかに12名いる」

勇者「……!」

魔王「恥を覚悟で言おう、余はその魔王たちの中で最も弱い」

勇者「!!??」

魔王「嘘ではない、事実だ、他の魔王にかかれば、余など片腕で瞬殺される」

勇者「……っ」

魔王「まぁ、それだけ弱い余だからこそ、《この》人間界に来ることができたのだがな」

 魔界と《この》人間界をつなぐゲートを通るには、内包する魔力量に上限があった。伝えられる情報量に限度があったのだ。

魔王「だから余は今、《この》人間界に対し干渉し、他の魔王が通れるようゲートの拡張を行っている」

勇者「……」

魔王「わかるか? 勇者、さらに言えば、今余を倒し、ゲートの拡張を防いだとしても、魔界の技術向上によっては、いつ他の魔王たちが人間界に侵攻してもおかしくないのだ」

魔王「余ごときにこの様である貴様に、他の12人の魔王を倒せるのか?」

勇者「……ッ」



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