過去ログ - 勇者(Lv99)「死にたくても死ねない死なない俺と、殺そうにも殺せない殺したい魔王」
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[saga]
2014/09/06(土) 23:15:42.08 ID:wtpJ9iTZ0
勇者の言葉は、突然教会へ入った数名の兵士によって途切れた。
勇者を見た兵士の目が驚きに染まる。
しかし兵士は事務的といった様子で言葉をつづけた。
兵士「王がお呼びです、ご同行願います」
勇者「……!」
勇者は泣き出しそうな顔になった。
勇者「まってくれよ……疲れてるんだ……後にしてくれないか?」
司祭「勇者、行け」
勇者「!?」
勇者は信じられないといった顔で司祭を見た。
勇者「俺のこのざまを見て、お前はそんな事を言ってんのか!?」
勇者は司祭へ向け怒鳴る。
司祭「ああそうだ、行け」
勇者「お前……っ」
司祭は、キッと勇者をにらみつける。
司祭「お前は、堂々と、勇者らしく、弱音を吐かず、行け」
勇者「ふざけんな……俺があの場所でどんな…」
司祭「頼むから!!」
司祭は叫び声を上げた。
司祭「頼むから! 弱い言葉を吐かないでくれ! 頼むから! 堂々としていてくれ! そうじゃねぇとみんなが浮かばれないんだ!!」
ほとんど悲鳴に近い声で司祭は勇者に迫る。
勇者「みんな……? みんなって」
司祭「3万人だ」
勇者「!?」
司祭「勇者奪還作戦に参加した命の数だ」
勇者「は?」
司祭「お前を助けるために、みんな命を捨てて魔王に挑んだんだ」
勇者「3…万?」
司祭の瞳から涙がこぼれる。
志半ばで息絶えた若者を知っているから。
皆に思いを託し、死に絶えたものを知っているから。
司祭「魔王城での決戦になれば、誰も生きて帰れないと覚悟しながらもな! 実際みんな魔王に殺された! だが、お前はここにいる! この意味が、分かるか!?」
勇者「……っ」
勇者は、顔をゆがめる。 そんな勇者の両肩をつかみ、司祭は懇願するように口を開く。
司祭「だから勇者……頼むから……みんなの覚悟を、思いを、無駄にしないでくれ……っ」
勇者「……」
勇者は茫然と、司祭を見つめる。
3万…? 俺を救うために?
そんな……
そんな
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