過去ログ - 【艦これ】艦娘達と過ごすちょっとした学園もの★10【安価】 -SS速報VIP

過去ログ - 【艦これ】艦娘達と過ごすちょっとした学園もの★10【安価】

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187: ◆z5EwvA1BT6[saga ]
2014/09/05(金) 06:10:00.00 ID:/PgvW7Bjo

満面の笑みだった。

心から楽しそうな笑みだった。

元々、教室で余り笑うような少女ではない。

だから、あんな表情の瑞鳳は、初めて見た。

「憎くて、怨めしくて、忌々しくて！」

「何より悔しかった！力のない自分が、悔しかった！」

「…でもさぁ、茶来さん」

「今はあるんだよ、ちから――」

「この子が、助けてくれたんだぁ…」

もう一歩、異形を従えた瑞鳳が近付く。

尻もちを付いたまま、茶来が後ずさろうとして、壁に当たる。

「や…やだ、来ないでよっ！」

瑞鳳とは対照的な顔。

いつもとは逆の構図。

嗜虐的な笑みを浮かべる女と。

やめてくれと恐怖の表情を浮かべる女。

「嫌」

短い返事。

抑え切れない喜色の込められた、返事。

瑞鳳が片手を挙げる。

異形がそれに応えて、鋭い牙を持つ口を開けた。

「……ひ、や、助けて！誰か！やだっ！」

茶来が髪を振り乱し、校舎の壁をどんどんと叩きながら叫ぶ。

異形が、それを嘲笑う瑞鳳の気持ちを代弁するかのように、ゆっくり、ゆっくりと顎を閉じていく。

そして、遂に触れようかという瞬間。

異変は起こった。

「………ガ…？」

茶来に触れかけた異形が。

弾かれた様に、咄嗟に牙を引く。

その手の陰の下。

「…龍驤さん！？」

睦月が、異変の名前を呼んだ。

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