過去ログ - 希「死なんといてね、ことりちゃん」ことり「知らないの?…私は死なない」
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◆Qe7X7xrNvI
[saga]
2014/10/02(木) 00:04:43.27 ID:ZhD9akc7o
「なにか…、なにか、食べるもの…」
物心着いた時にはもう、私は一人だった。
どうしてそうなったのかは、知らない。覚えていない。思い出せない。
ただ住むところも、着るものも、食べるものも保証されてなくて。
必要な物以外…、いや、必要なものすら、何も持っていられなかった。
当然、自分の名前なんか。
「ない…。ない…。食べ物、食べ物…」
声にならない声で、ゴミ箱を漁る。
もう何日も、何も口にしていなくて、死にそうだった。
その日は凍えそうに寒い日で、外にある蛇口はあらかた凍っていて。
薄着でしかない私は、本気で凍えじぬ寸前だった。
そんな、今思えば掃き溜めのネズミよりも汚らしい私に。
話しかけてくれた人がいた。
「…あなた、何してるの?」
後ろから突然声をかけられ、驚いて素頓狂な声を上げた。
…つもりだったけど、喉が枯れてて、全く声が出ない。
「その格好…。ねぇ、あなたご両親は?どこの学校に…」
その言葉を聞いて、私は怯えてしまった。
以前にも、私の姿を見て通報した人がいたらしい。
でも、その頃の私は、警察がとても恐ろしいものに見えていたから。
このままじゃ、捕まって牢屋に入れられる、そう、思った。
でもそんな姿をみて、その人は。
「あっ…、ごめん。言い方キツかったかしら…。いつもお父さんに叱られているのよね…」
「お前の口調は怒ってるふうに聞こえる、なんて」
「じゃあ…、これなら、どうですか?」
その人は、優しい声で、丁寧な口調で、私に話しかけてくれた。
こんな、人の皮をかぶったゴミのような私に対して。
冷たい地面に膝をつきながら。
目線を合わせて、話しかけてくれたのは、その人が初めてだった。
「もしかしてあなた…、家がないの?…ですか?」
その言葉に、私は一瞬身を構えたけれど。
次の彼女のセリフは、私をさらに驚かせることとなる。
「よかったらうちに、来ませんか?」
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