過去ログ - 希「死なんといてね、ことりちゃん」ことり「知らないの?…私は死なない」
1- 20
300: ◆Qe7X7xrNvI[saga]
2014/10/02(木) 00:33:02.52 ID:ZhD9akc7o
「げほっ、げほっ…。ご、ごめんな、さい…」


ちょっとでも粗相をすれば、追い出されると思って萎縮した。…けど。

彼女は笑いながら、いいのよ、と言ってくれた。


「あなた、名前は?」


すこし落ち着いてから出た彼女のセリフに、私は戸惑った。

名前なんて、ない。

今まで、誰かに名前を呼ばれたことなんてなかったから。

必要ないもの、だったから。

そんなことを、しどろもどろに言ってみた。

すると。


「…」

「家族も…、いないの、ですか?やっぱり…」


頷く。

彼女は、そういうのは孤児、っていうのだと、教えてくれた。

近頃は育児放棄をする親が多くて、日々孤児は増え続けている。

その頃のは私にはいまいち理解はできなかったけど、彼女はそういう子たちを救うための活動をしていると。

まぁ、なんとなくはわかった。

仕事だから、私に声をかけてくれたのか。

そうでもなければ、こんなに汚い私を家に上げるわけ無い。

でも、仕事でもそういうことをしてくれる人がいて、素直に嬉しかった。


「本来なら、私の経営する孤児院に送るところなんだけど…ね」


彼女がいうには、私は特殊らしい。

親も、住んでいた場所も、名前すらないなんて、とても珍しいと彼女は唸った。

そういう子は孤児院に入れても孤立しやすいとかなんとか。

じゃあやっぱり、捨てられるのかな、なんて思ってたら。

またまた、予想もつかないことをこの人は言い出したのだった。


「じゃあ、うちで暮らしましょう」




本当にその日は、私にとって初めてのことばかりだった。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
543Res/599.18 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice