過去ログ - 希「死なんといてね、ことりちゃん」ことり「知らないの?…私は死なない」
1- 20
354: ◆Qe7X7xrNvI[saga]
2014/10/05(日) 14:20:31.26 ID:3O/d7vVao
ある日、マキから一人の少女を任された。

3年間、誕生してから顔も見たこともなかった、彼女の妹。

真姫のもうひとりのクローン。

だけど、彼女は3歳のはず、なのに…。



ツバサ「もう、えらく成長して見えるのだけど…、それこそ、10歳くらいに…」

マキ「えぇ、そうでしょう?成長を促進させる培養液で育成したからね」

ツバサ「そんなものが、あるのね…。それにしても…」

ツバサ「10歳の頃のあなたと、瓜二つね…。口数が少ないところも含めて」


私の何気ないそのセリフに、マキはやけに嬉しそうな顔で、声で、こう答えた。


マキ「えぇ、そうでしょう。『私に』そっくりよね」

マキ「似ているのは、この子の、方」




マキが言うには、彼女を知識の器とするらしいのだけど、

地球の記憶を最低限理解するためには、今のままではダメなんだそう。


マキ「この子が情報を正しく理解できないければ、私に届く情報も純粋なものではなくなるの」

マキ「だから、適度な教養と、一般的な常識くらいは教え込んだわ」

マキ「あとはあなたが、この子に人間らしい心、というものを教えてあげてちょうだい」


人間らしい心、と言われても…。

どうすればいいのか、さっぱりわからなかった。


「…」

ツバサ「ねぇ、あなた…、お名前は?」

「…」

ツバサ「え、えっとね、私は…、綺羅、ツバサ…」

「…」

ツバサ「あー…、えっとぉ…」


初対面の少女と話すことがこんなにも辛いことだったなんて。

真姫はやはり偉大だったのだな、と感心する。

…いや、あの人のことはもう、忘れようと誓ったはずなのに。

何をするにしても、彼女の姿が脳裏にチラついて離れない。

それもそうか、と一人で納得する。

彼女は、私の全てだったのだから、当然だ。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
543Res/599.18 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice