過去ログ - 総合P「過労死しそうにない」
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309: ◆7SHIicilOU[saga]
2014/11/17(月) 08:39:45.07 ID:LBLt4448o

「いっけぇー!」

 普段出す機会がない研究成果を出せたのが嬉しいのか、
やたら高いテンションで佇むスライムに指示を出す。

「……ふぅ、仕方ありませんね」

 山のような粘体の塊が指示を受けて蠢き、
茜に圧し掛かろうとする刹那。
それを見ていた貴音が嘆息を吐いて小さく呟き、
池に足を踏み入れる。

 パキン。と何かが割れた様な音。
そして続くパキパキという、小気味良い音。

「え?」

 志希と茜の声が重なった。
視線の先には池の水面を悠々と歩く貴音の姿。

 ――否、水面ではなく。氷面。
いつの間にか池は凍て付き固まり、
水のみならず、スライムまで完全に凍り付いていた。

「嫌いなのです」

 こつこつと、表面に霜を張り付かせた氷面を歩く貴音は呟く。

「……氷の女王等という渾名は」

 言って足元を見ていた視線をあげ、志希を見つめる。

「――っ!?」

 ここで始めて、志希は戦慄を。
全身に立つ、寒さからではない鳥肌を感じ。
恐怖した。白衣から今度はフラスコを取り出し、近場の木々に栓も取らずに投げつける。

 叩きつけられ割れたフラスコからまたも
極彩色の液体が撒き散らされ、木々の根に振る。

「い、いけっ!」

 どもる舌。鳥肌が立つにも関わらず額を落ちる汗。
初めて感じた「焦り」に突き動かされるように指示をだすと、
液体を浴びた木々が動物のようにゆっくりと根を足に、枝を腕にして歩き出す。

「……」

 一瞥。志希から目を逸らしそちらを見て、僅かに腕を振る。
すればたちまち木々もまた、凍りつき瞬く間にその動きを止める。

「すっごー……」

 凍りついた四つの山から抜け出し、ただ唖然とする茜。
この状況をどうするか必死で考える志希。
その両名を視界におさめ、勝者の面持ちで歩む貴音。

 誰がその場を支配しているか。
一目瞭然だった。


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