過去ログ - 総合P「過労死しそうにない」
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768: ◆7SHIicilOU[saga]
2015/02/21(土) 21:21:11.19 ID:JumrqzI8o

―――

「プロデューサーさん! 凛ちゃんが!」

 俺が違和感にはっきり気付いたのは、かなり遅かった。
「うわ、星井美希だ!」と、未央が直前まで話をしていた筈の美希に向かって言った時も、
なんだそりゃ。とは思ったもののまたなにかの冗談かなにかだと思っていた。

 本格的に異常に気がついたのは、
凛が顔を顰めて不安そうにしていた時。
そして呼応するかの様に複数人のアイドルが
ともすれば記憶障害とも思えるような発言をするようになってからだった。

「どうした!? なにがあったんだ!?」
「急に高熱をだして倒れて、今レッスン室で、凄い、それに杏ちゃんも!」

 曰く、別の人間が『プロデューサー』である気がする。
曰く、先輩アイドルや小鳥が他人に思える。
曰く、自分はデビューして間もない気がする、エトセトラエトセトラ。

 個人差はあれど、概ねして発言の内容は上記の様なものだ。
他にはスカウトの記憶が二つある、ここがどこだかわからない。
などといったケースもあり、本格的に原因を探らないといけないと思った矢先。

「なんだって!?」
「いま清良さんが診てくれて、大事はないって事らしいですけど。お仕事は……って」
「……わかった、キャンセルしておく。すぐに顔を見に行く」
「はい」

 完全に遅きに失した。悔やんでも悔やみきれない。
兆候はあった、なのにと。
しかし、事態は矢継ぎ早に進んでいく。後悔の念を募らせる間も与えてはくれない。

「……メールか? ……晶葉」

 震える携帯電話。スマートフォンが主流になった今も使い続けている
二つ折りの携帯は静かにバイブレーションで所属アイドルの池袋晶葉からの着信を知らせる。

『大事な話がある。地下室に来たれり 池袋晶葉』

 メールである以上差出人が誰であるかなど記名せずとも一目瞭然なのだが、
律儀にも本文に自身の名を書いて送られた簡潔な文章。
俺は仕事と体調不良のアイドル達と、このメールとを天秤にかけて。
即座に事務所地下に存在する晶葉の研究所に向かった。

 計ったかのようなタイミングで晶葉からの着信で鳴る携帯。
きっと晶葉はその自慢の頭脳でこの状況を解明し、それを知らせようとしているのだろう。
『個性判別循環呼応機構機事件』の時も『3兆円騒動』の時もそうだった。

 そしてその内容は、いつだって俺の想像を遙かに超えて最悪なんだ。


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