過去ログ - 酢乙女あい(15)「『乱雑解放』【ポルターガイスト】を調査しますわ」
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430:>>1 ◆aMcAOX32KD1b[saga]
2015/11/30(月) 00:32:51.20 ID:e26jeH800
ファミレスの一角で上がった黄色い声も止み、女子中学生達が思い思いの感想を述べる。

「じゃあ、野原さんは話し続けようとした酢乙女先輩をキスで黙らせたってこと!?」

「なにそのイケメン力と行動力」

「どこの乙女ゲームの攻略キャラですの!?」

佐天が、食蜂が、白井が続けて言う。

「異国文化ってやつですか……」

でも意味はキスと同じと解っていても微妙にロマンチックとは遠いですね。と苦笑いだった。
残った一人、御坂は顔から湯気を出し黙っている。
おそらく自分が同じことを(日本流で)想い人からされたらと妄想しているのだろう。

「……まあ、この時私がいただいた『思い出深い物』はキスではなく、別のものなのですけれど」

あいのそのつぶやきは、はしゃいでいる後輩達に聞こえることは無かった。
彼女は目をつぶり、パーティが終わった後に交わした、北与野博士との会話を思い出していた。

「お嬢さん、ちょっと良いかな?」

「あら、何でしょうか。北与野博士」

「今回の件で、君としんちゃんの結婚はほぼ決まっただろう」

「え?そうなんですの?だとしたら嬉しいのですけれど、何故?」

「しんちゃんはああ見えて、責任感の強い子だ。そして何より優しい」

少なくとも幼馴染が意に添わぬ結婚を強いられるかも知れないのなら、それを邪魔しようと動く程度には。
そしてその幼馴染が自分のことを想い続けて婚期を逃してしまったら、その責任を感じてしまう程度には。

「ソレは……罪悪感に着けこんで結婚を迫るなんてしたくありませんわ」

何より、あいは彼には自由でいてほしいのだ。

「だろうね。君も彼に劣らぬ優しい子だ。だから何時からきっと、君の想いは彼に届く日が来るだろう」

博士の言葉は続く。

「だから彼の伴侶となるだろう君に、知って置いて欲しい」

「何を、ですか?」

「世間では、彼をシンデレラボーイ扱いするかも知れない、一般市民と大金持ちの財閥令嬢の恋だとね」

でも実際は違う。と続けた。

「彼は所謂『英雄』だ。そういう運命をたどってきたし、これからもきっとそうだろう」

やっとあいにも、北与野博士が言わんとしてる事が解った。
苛酷な運命を共にする覚悟はあるのかと問われているのだ。
返事など、とうの昔に決まっている。

「何故そこまで、貴方はしん様の事を気に掛けるのですか?」

北与野博士は、少し悲しげな表情を浮かべ、ぽつりぽつりと話しだした。

「彼には幸せになって欲しいんだよ。私は彼にとても辛く苦しい想いをさせてしまったからね……」



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