過去ログ - 京太郎「清澄高校麻雀部員共」恭子「11バック?11人分受け入れるんか…」
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392: ◆kMdoUJ39Cc[saga]
2014/09/12(金) 20:56:03.35 ID:aFvEPEfM0
少女が女に変わるとき、周囲にもそれは分かってしまうらしい。

「……あの」

横に座ってチラチラと俺を窺う人。普段の威勢の良さはどこへやら、この数日ときたらすぐに顔を赤くするわ、モジモジと普段なら飛び出す手と足を引っ込めてしまう。
今だってそう。ボーっとベンチに座る俺を、十センチほど離れた場所で縮こまって見ている。

「そ、そうや! うちなー、あの……おか…お母さんからクッキーの作り方習って…」

わざわざ言い直す仕草もどこか可愛らしい。そう思うのは、仕方ないだろ?
だから…つい、ちょっかいを出したくなる。横に垂れた髪を掬い上げて、軽く手櫛を通していくように。

「ひゃっ!? あ……んぅ…」

驚いたり、くすぐったそうにしたり、赤くなったり。こういう百面相も悪くない。
なにより…ほんの数日前の初体験以来、こうするだけで蕩けるような目で、ねだってくるんだ。

「な、なあ…うち、もう…」

自分で開けていたベンチの隙間をグイッと詰めてくる。漏れ出る苦笑いと共に聞いても、その勢いを止めることはできなさそうだった。

「いいんですか? 人目もあるかもしれませんよ」
「い、意地悪言わんといてやぁ…! もう、我慢できひん…!」

目に一杯の涙を湛えながら見上げる顔は、どう見ても切羽詰っている。今にも爆発しそうな色が目の中で渦巻いて、俺を全力で求めているのが丸わかりで。

「仕方ないっすね…それじゃ、してあげますよ」
「あ……んっ!」

なんて、ことはない。俺もほんの少しだけ、頬が熱くなるのを感じるけれどそれだけだ。
唇の先端にほのかに感じる熱いモノ。微かに撫でるような唇同士の摩擦が、ピリピリと電流を流すように心地いい。

「ふ、ぁあ…須賀ぁ…」
「じゃなくて?」
「……きょうたろぉ…」

ほんの一瞬の触れ合いだけで、再びベンチへ背を預ける。さっきと違うのは、隣の愛宕洋榎が茹蛸のような色で陶酔しきっていることか。
これでまた、明日は色々言われるんだろう。どうせ一日くらいじゃこのアホ面は直らないんだから。
まったく…いつになったら、なんて思わなくはないけれど。こういうのも良いのかもしれないな。



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