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2014/09/07(日) 01:40:34.02 ID:xO2uA2t90
 お爺さんは家に帰り、お婆さんに山での出来事を話しました。 
 子供のいなかった二人は喜び、その赤ん坊を「菜々」と名づけて大事に育てました。 
  
  
 それからというもの、お爺さんが山で竹を切るたびに、 
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2014/09/07(日) 01:41:37.82 ID:xO2uA2t90
 その神々しいまでの美しさは、後光が差しているようにも見え、 
 荒ぶる人の心を落ち着かせます。 
  
  
 婆「どうして浮気なんてするのですか! 年を考えてくださいよ!」 
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2014/09/07(日) 01:42:52.61 ID:xO2uA2t90
 菜々「それにお爺さん。町行く美女に少し鼻の下を伸ばしたくらいで 
    お婆さんがこんなに嫉妬するということは、それだけお爺さんのことを愛しているということですよ。 
    ですが、今後は慎むように」 
  
 爺「はい……」 
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2014/09/07(日) 01:43:38.28 ID:xO2uA2t90
 爺「ははは! いままで腹が立っていたのに、 
   なぜかそんな気分も吹き飛んでしまったわい!」 
  
 婆「私もですよ」 
  
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2014/09/07(日) 01:44:25.32 ID:xO2uA2t90
 かぐや姫の美しさは世間に知れ渡り、かぐや姫の下には様々な縁談が舞い込んできました。 
 しかし、かぐや姫は誰とも結婚しようとはしません。 
  
  
 屋敷の周囲にたむろしていた男達も、 
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2014/09/07(日) 01:45:39.87 ID:xO2uA2t90
 爺「菜々や、わしらも齢(よわい)七十を越え、いつ死んでもおかしくない。 
   どうかわしらの生きている間に、結婚してわしらを安心させてくれんか?」 
  
 菜々「ごめんなさい、お爺さん。私は人間ではなく、ウサミン星人なのです。 
    人間とは結婚できないのです」 
10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/09/07(日) 01:46:27.57 ID:xO2uA2t90
 爺「おお、そうか!」 
  
 菜々「ただし結婚するのは、菜々が今から言う秘宝を持ってきてくださった方です。 
    どれも入手困難なものですから、そこまで労力をかけて下さった方は、 
    それほどまでに深い愛情を持っていると判断します」 
11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/09/07(日) 01:47:47.09 ID:xO2uA2t90
  
 求婚者一人目。 
 石作(いしつくり)の皇子は、「仏の御石の鉢」を要求されました。 
  
 要領の良い彼は、天竺(インド)まで行ったと見せかけて三年間隠れ、 
12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/09/07(日) 01:48:31.49 ID:xO2uA2t90
 かぐや姫が袋を開けてみると、鉢と一緒にこんな歌が入っています。 
  
  
 『海山の 路に心を尽くし果て ないしの鉢の 涙流れき』 
  
13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/09/07(日) 01:49:31.89 ID:xO2uA2t90
 かぐや姫は、 
  
  
 『おく露の 光をだにも やどさましを 小倉の山にて 何もとめけむ』 
  
14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/09/07(日) 01:50:19.22 ID:xO2uA2t90
 うちひしがれた皇子は、鉢を屋敷の前に捨てると、 
  
  
 『白山に あへば光の 失するかと 鉢をすてても たのまるるかな』 
  
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