過去ログ - 【咲】京太郎「今日から俺が須賀京子ちゃん?」初美「その4なのですよー」【永水】
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37: ◆phFWXDIq6U[sage saga]
2014/09/15(月) 22:32:02.40 ID:M6NKblbwo

パチパチパチパチパチ

依子「……」

響く拍手の最中、依子はゆっくりと舞台へと歩き出す。
その足取りには最早、全校生徒に拒絶されるかもしれないという怯えはなかった。
自身が最も敬愛し、心を預けられる淑女がこの状況を作り出してくれたのだから。
きっと何もかもが上手くいく。

依子「(…いいえ、上手くいかせてみせますわ)」

依子「(だって…私の…私だけのエルダーがこうまでしてくれたのですから)」

依子「(上手く出来なければ…それこそエルダーとしての名折れに他なりません)」

京子「後は貴女の仕事です」スッ

依子「……えぇ」

まるで自身を追い詰めるような言葉の群れは京子からマイクを受け取った瞬間、力へと変わっていく。
ドロドロとした情念めいたその力に、本来はこの場にいない偽りのエルダーであるという負い目が溶かされていくのが分かった。
それは依子にとって、全校生徒に認められるよりも、目の前の一人の少女に認められる事の方が大きくなったからだろう。

依子「(…これもきっと京子さんのお陰ですのね)」

依子「(本当に…本当に不思議で…素敵な方)」

依子「(たったこれだけでも…私に力をくれるなんて)」

依子「京子さん、本当に…本当にありがとうございますわ」

京子「私は何もしていませんよ」

京子「この拍手は依子さんが今まで作ってきた信頼の証です」

京子の言葉に依子は否定の意を返したかった。
この拍手は決して自発的に生まれたものではなく、京子が扇動したからこそ生まれたものなのだから。
それを前にして何もしていないだなんて、はたして誰が言えようか。

依子「(…ですが、それを前を口にしていては場が冷めてしまいますわ)」

依子「(折角、京子さんがこうして私の為に舞台を整えてくださったのですから)」

京子「ですが…だからこそ、私はここから先はもう手助け出来ません」

京子「…一人で大丈夫ですか?」

依子「…えぇ。京子さんが作ってくれたこの場所を決して無駄にはしませんわ」

京子「ふふ。では、後はお任せします」

京子「ご武運を」

その言葉に頷きながら、依子は一歩前に出る。
瞬間、拍手が止み、全校生徒の視線が自分へと向けられるのを感じた。
好意的なもの、未だ疑念混じりのもの、好奇心めいたもの。
視線から感じる感情は様々で、だからこそ、今まではそれに気圧される事もあった。
だが、今はそれがまったく気にならない。
それどころか… ――


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