7: ◆Q2Rh6LUPmsVj[saga]
2014/09/14(日) 08:12:44.79 ID:L+7u/Q1o0
一方その頃、ネルフの発令所ではミサトと青葉が少し真剣な議論を交わしていた。
内容はネルフの情報操作、情報規制の件であり、ここで二人の意見は真っ二つに分かれた。
「僕はやっぱりある程度は開示しなきゃ駄目だと思うんですよ。使徒っていうのは、どこからでも来ますからね。実際、報道されていないだけで目撃してる人はこれまで何千人とか何万人とか、そんな単位でいるはずなんですから。何も一から十までとは言いませんが、もうある程度の情報は出してしまった方が、ネルフにとっても都合がいいと思うんですよ」
「あー、うん……。青葉君の言いたい事はわかるわー。でもさ、ちょっち考えてみてよ。使徒とかいう化物がー、って話をしただけで眉に唾をつける人は大勢いると思うし、それに対抗する為に人造人間……まあ、一般的な言い方をするならロボットよね? リツコあたりはそう言うと怒るかもしんないけど、でもやっぱ普通の人から見たらエバーってロボット以外の何物でもないでしょ? それを使って化物を倒してます、なんて言ったら、それこそ非難轟々だと思うのよ、私は。逆に不安と不信を煽るだけにしかならないと思うのよね」
「まあ、確かにそういう部分もあるとは思いますけど……。でも、そうは言ってもですね」
元はと言えば、「まーたお酒が値上がりしたのよー」という、ミサトのごく何気ない世間話から始まったのだが、そこから物価の話になり、 経済の話になり、現在のかんばしくない政治状況の話になり、ネルフの予算の話になり、壊された迎撃都市の修復状況の話になり、使徒の話になり、そして今の話になった。つまるところ、始まりはごく些細なものであったのだが、しかし一度白熱してしまった議論は議論であり、 二人はお互いに自分の意見を翻す様な真似を良しとはしなかったし、きちんと決着をつける気にあふれていた。
「ですから、何だかんだで見通しが甘いと思うんですよ。やっぱり隠していても仕方がないですし、既にある程度はバレている事なんですから、もう今の内にこちらから開示した方が」
不意にミサトの携帯が鳴った。
「っと……ちょっちゴメンね。少し席を外すわ。多分、大した用件じゃないだろうから、すぐに片付くとは思うけど」
不意の電話に少し気勢を削がれた感はあったが、とはいえ、このまま曖昧に終わらせる気は二人にはなかった。
「ええ、わかりました。それなら僕も少しトイレに行ってきますので、またそれから」
「そうね。そうして」
そう言うとミサトは携帯電話の通話ボタンを押し、青葉は席を立ってゆっくりと発令所から出ていった。
それから数分が経っただろうか。
ほどなくしてミサトの電話は終わったが、青葉はまだ戻って来なかった。
代わりにマヤが発令所に姿を現したので、ミサトが軽く声をかけた。
「お疲れ、マヤ。シンクロテストはもう終わったの?」
「はい。今回は早かったですね。いつもこうだと助かるんですけど、そうもいきませんから。あ、結果はすぐに必要ですか?」
「ううん。後でいいわー。データだけ送っておいて。それよりリツコは? 一緒じゃなかったの?」
「はい。先輩はちょっと用事があるとかで……。すぐにこちらに来るとは言っていましたけど」
「ふーん……」
そんな話をしていたら、ようやく青葉がトイレから戻ってきた。
「今、戻りました。それで葛城さん。さっきの話の続きなんですけど、僕が思うにですね……」
「…………」
「…………」
二人は思わず言葉を失った。戻ってきた青葉がツルツルの坊主頭になっていたからである。
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