15: ◆F.lQmLP.5M[saga]
2014/09/14(日) 22:24:07.58 ID:4ZFYR2uVO
「入れ」
促しつつも慌ててケースをしまった。
こんなところを見られたら、どんな視線を向けられるかわかったものではない。
「失礼します」
軍帽を意味もなく深く被り直していると、名乗った加賀に続いてもう一人執務室に入ってきた。
当然のことであったので驚きはない。
二人を呼びつけたのは、他ならぬ男だった。
「一航戦加賀、御前に」
「同じく赤城、参上いたしました」
整然と敬礼をする右手ではなく、逆側の手の、特に薬指の辺りに視線が行ってしまうのは仕方のないことなのだろうか。
男は心の中だけで苦笑して、立ち並ぶ二人の顔に目線を戻した。
端正な美貌、凛とした佇まい。
冷厳な加賀と涼やかな赤城の違いこそあれど、根本の性質は同じだ。
ほどよく糸の張った一本の和弓のような、あくまで武人として完成された「美」がそこにはあった。
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