過去ログ - 赤城「なまえのないかいぶつ」
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31: ◆F.lQmLP.5M[saga]
2014/09/15(月) 19:18:04.25 ID:sf6OOFz8O

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愛する人がいた。

愛している人がいる。
愛している人が、目の前に座っている。

ただしそこは小洒落たカフェーのテラスでもなければ、夢にまで見た想い人の部屋でもない。
ロマンもなければムードもへったくれもない、行きつけの大衆食堂の片隅で、想い人は昼食の丼物をかっこんでいた。

それでも赤城はため息などつかなかった。
幸せだった。
ただこうしていられることが幸せだった。
いつも通りの自分たちでいられることが、泣きたくなるほど幸せだった。

じっとその面差しを見つめていたせいだろう。
愛する人はなにを勘違いしたのか、丼の中身をレンゲに掬ってこちらへ差し出してきた。

食べるか?

はい、いただきます。

赤城は例えようのない幸福感を抱いて、想い人のお節介な厚意に、好意に、甘えることとした。



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