31: ◆F.lQmLP.5M[saga]
2014/09/15(月) 19:18:04.25 ID:sf6OOFz8O
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
愛する人がいた。
愛している人がいる。
愛している人が、目の前に座っている。
ただしそこは小洒落たカフェーのテラスでもなければ、夢にまで見た想い人の部屋でもない。
ロマンもなければムードもへったくれもない、行きつけの大衆食堂の片隅で、想い人は昼食の丼物をかっこんでいた。
それでも赤城はため息などつかなかった。
幸せだった。
ただこうしていられることが幸せだった。
いつも通りの自分たちでいられることが、泣きたくなるほど幸せだった。
じっとその面差しを見つめていたせいだろう。
愛する人はなにを勘違いしたのか、丼の中身をレンゲに掬ってこちらへ差し出してきた。
食べるか?
はい、いただきます。
赤城は例えようのない幸福感を抱いて、想い人のお節介な厚意に、好意に、甘えることとした。
242Res/148.03 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。