52: ◆F.lQmLP.5M[saga]
2014/09/21(日) 18:33:01.94 ID:f8PWe9ZjO
「私も彩雲を出します」
その時、怜悧な声が空気を裂いた。
ただ一人、戦闘終了の号令にも弓を下ろさなかった、南雲機動部隊最後の一人。
「あ、赤城? それは吾輩たちがやっておくから、お主は小休止をだな」
赤城が険しい表情を崩さぬまま、つがえた矢に載せて彩雲を発艦させた。
偵察機が空の向こうまで飛び去ってからも、赤城はその航跡をじっと見据えて動かなかった。
「……はぁ」
加賀はため息をついて、利根と筑摩に目配せをした。
なにか言いたげな利根を筑摩がなだめつつ、姉妹はその場を去っていく。
二人を横目で見送ってのち、加賀は立ち尽くす赤城の背を視界に入れたまま、耳に手のひらを当てた。
通信機構が作動する。
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