過去ログ - 和「フランスより」咲「愛をこめて」
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15: ◆CU9nDGdStM[saga]
2014/09/16(火) 00:38:04.70 ID:IfVJEPyJ0
30分ほどで目的駅に着いたが、咲には一時間くらいに感じられた。
電車から降りた瞬間、背中にかいた汗がすっと冷えるのを感じて驚く。
どうやら自分でも気づかないほどに緊張していたらしい。
咲「さてと……また、か」
そして咲は再びため息をついた。
パリでも有数の規模を誇るターミナル・北駅(Gare du Nord)は、あのシャルル・ド・ゴール空港と同じ雰囲気があった。
すなわち、やたらと大きくて広く、薄暗い。
しかも困ったことに空港と違ってあまり英語が通じなかった。
どうも向こうは聞くことができてもしゃべることができないらしい。
たまに話せる係員にいきあってもなまりがひどく、咲が聞きなおすことが多々あった。
方々さまよった挙句、やっと出口にたどり着いた時にはすでに日は高く上っていた。
時計を見ると、予定より随分と遅い。
思わぬ時間のロスに、咲はまた深いため息をついた。
咲(でも……まぁいいか)
何せ急ぐ旅ではない。添乗員もつかない個人旅行なので、時間の束縛は一切なかった。
ポケットに忍ばせていた地図を見ながら、咲はパリの道を一歩一歩踏みしめる。
テレビで見たのと同じ石畳が、妙に歩きづらかった。
――そして何とかたどり着いた宿泊先で、咲は呆然と立ち尽くすことになる。
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