過去ログ - 和「フランスより」咲「愛をこめて」
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22: ◆CU9nDGdStM[saga]
2014/09/16(火) 00:56:29.83 ID:IfVJEPyJ0
お目当てのカフェは、駅から少し離れた路地の奥にあるとのことだった。

咲の好きな作家のお気に入りで、彼のエッセイによく出てくる店である。

地元の人にも人気らしくテレビ番組にもしばしば映っていた。

咲「この辺りのはずなんだけど……」

パリの街は複雑だけれど、意外と迷いにくい。

というのも小さな路地ですら通りには全て名前がつけられているからだ。

さらに、通り名は比較的わかりやすく看板の形で示されている。

地図にも住所にもその通り名が明記されているので、

首尾よく通りを発見できれば目的地におのずとたどり着けるというわけだ。


咲が目指す通りも、同様にすぐ見つけることが出来た。

大通り沿いの派手な店には目もくれず、咲は薄暗い石造りの路地へと入る。

目的の店はちょうど短い通りのちょうど真ん中にあって、少し色あせた赤い日除けが目立っていた。

大通りに面した店はどこも客で埋まっていたが、それはここも同じようだった。

路地裏にあるとはいえ「人気の」と謳われているのは伊達ではないらしい。

とはいえ観光客らしき姿は咲以外には見当たらなかった。

テラス席で銘々にくつろいでいるのは明らかに地元民である。

まさしく自分が知りたかった「本当のパリ」の予感に、咲の胸は久しぶりに高鳴った。


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