過去ログ - 和「フランスより」咲「愛をこめて」
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353: ◆CU9nDGdStM[saga]
2016/03/15(火) 00:32:59.57 ID:ymof320R0
カレン「お客の味覚って、私らが思っているよりずっと敏感なんだ。おざなりに作っているケーキは、やっぱりそういう味がする」
カレン「だからこそ、特別なケーキは作り手も特別な想いを込めて作らなくてはならない」
咲はもう一度ケーキを見た。
そして、あのなんともいえない素晴らしい味を思い出す。
カレン「だけど、このケーキは違う。和が見つけた、和ならではの『特別』が詰まっている。それこそが、私が求めていた『特別』なんだ」
ここまで言い切ると、カレンは咲を見つめた。
カレン「そして、和はこのお菓子を一人ではなく、咲というパートナーと二人で作り上げた」
咲「そんな、私は何にも……っ」
カレン「和にインスピレーションを与えてくれたんだろう?大した仕事さ」
「いわば、二人の共同作品だな」とカレンは笑った。
憧「あれ?でも、試験は独力じゃないとダメって……」
カレン「まぁ、それも一般的には、だな。製菓は分業が多いから、どうしても自分の得意分野以外は疎かになりがちだ」
カレン「だから、例え将来どういうポジションについても一人前たるもの、最初から最後まで手を抜かず自力で作れって言う意味だったんだが…」
憧「和は違ったってこと?」
カレン「憧もわかるだろう?和は、最初から独りで作ってた。だから、むしろ今回は誰かと共に作ってくれた方が嬉しかったんだ」
いよいよ全てを言い終わると、カレンは「もう一口いいか?」とケーキに手を伸ばした。
カレン「しっかし本当にうまいな。クラシック通り、バターと砂糖と……」
指についた最後のひとかけらを、彼女は真っ赤な舌でぺろりと舐めとった。
カレン「何より、『Amour』がたっぷり詰まっている」
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