過去ログ - 和「フランスより」咲「愛をこめて」
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55: ◆CU9nDGdStM[saga]
2014/09/16(火) 21:58:46.21 ID:IfVJEPyJ0
和「大体、観光ならどうしてこんなところにいるんですか!?」
和「ルーブルとかエッフェル塔とか、もっとメジャーなところに行けばよかったんです!」
咲を置き去りにして、和の叱責は続いていた。
その厳しい言葉のどれもが、咲の無知と無謀を責めている。
和「というか、ただでさえ咲さんは色々と危なっかしい人なのに…独りでこんなところに旅行とかありえません!」
咲「……」
和「むしろ日本から出てきては駄目です!」
その言葉に、咲の奥で何かがぷちんと切れた。
咲「……んで」
和「咲さん?」
咲「なんで、私ばっかりこんな目にあうのっ!」
和「さ、咲さん?」
うろたえる和の姿があっという間にぼやけて大きく歪み、
すぐにクリアになったかと思えば頬に熱いものが走る。
咲「日本でも散々な目にあって、それを忘れたいからせっかくパリまでやってきたのに……」
この旅行――いや、それ以前から溜まっていたものが、大粒の涙となって咲から溢れだす。
咲「もぉ、やだぁぁあああっ!」
まるで子供のように泣きじゃくる咲の声が、石造りの狭い路地に響きわたった。
和「……ごめんなさい。少し言い過ぎました」
咲の視界が暗くなったのは、それから少し間を置いてからだった。
押し付けられたところからトクトクと心の音が聞こえて、
咲は和に抱きこまれていると気がつく。
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