過去ログ - 和「フランスより」咲「愛をこめて」
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73: ◆CU9nDGdStM[saga]
2014/10/30(木) 22:11:50.96 ID:rbJeXhC60
「大して変わりはないですから」と言われて、咲はパリの夜道をひたすら歩いていた。
その手はしかと和に掴まれているが、二人の間に会話はない。
観光客と地元民の声が入り混じった喧騒だけが唯一の音だった。
石畳の道を過ぎると一際大きな通りに出た。
見上げるような大きな木々が規則正しく平行に並んで道と街を彩っている。
北駅やバスティーユ界隈と同じように、ここでもそっくりな石造りの建物がみっしりと並んでいる。
恐らく同じくらい古いものだろうに、あのホテルのような「残念感」は全く感じられなかった。
ライトに照らされた淡いクリーム色の石は夜目であることを差し引いても美しい。
やっと、咲はそう思えた。
咲(場所が違うだけで、こんなに変わるなんて……)
和に遅れをとらぬよう気をつけながらも、咲は周囲の建物にあちこち目をやってしまう。
外観は古く画一的でも、内装は実に多種多様であった。
モダンに設えたもの、クラシカルな雰囲気を残したもの、斬新でポップなデザイン――
まるでバラバラなのだが、外観が同じせいかどの店舗もこの街並みにしっくりと馴染んでいる。
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