過去ログ - 和「フランスより」咲「愛をこめて」
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8: ◆CU9nDGdStM[saga]
2014/09/16(火) 00:21:02.20 ID:IfVJEPyJ0
編集長「全部で10万円分ある」

咲「え……」

編集長「マイレージで交換したんだよ。ほら、数年前やたらと海外に飛ばされていたときあっただろ」

編集長「あの時溜まったヤツの期限が切れそうで換えたんだが、結局ソイツも使えねぇままでさぁ」

咲「……」

編集長「という訳でスランプの見舞金代わりにやるから、使い切って体験記の一つでも書いてくるまで会社に来るな」

満面の笑みとともに親切ごかして言われたものの、咲にとっては死刑宣告に等しかった。

というのも咲は正規の社員ではない。

時間で雇われているのではなく「原稿一本いくら」の形で食い扶持を稼いでいた。

さらにフリーではなく、あくまでこの編プロと専属契約を結んでいるので他から仕事を得ることは出来ない。

「会社に来るな」とは、すなわちライターとしての収入が閉ざされることを意味していた。



咲「たった10万で、何が出来るっていうの……」

ワンルームの自宅で寝転がったまま、咲は独りこぼす。

手にしたこの商品券が、咲が会社を去るにあたって与えられた全てだった。

いわば、退職金だ。

咲「たった、10万円」

それでなくてもこのところ咲の生活は苦しい。

例のスランプで、一ヶ月の間一銭も得られなかったからだ。

浪費するたちではないので今までの貯金はあるが、将来のことを考えると容易に取り崩せなかった。


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