過去ログ - 和「フランスより」咲「愛をこめて」
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9: ◆CU9nDGdStM[saga]
2014/09/16(火) 00:24:38.77 ID:IfVJEPyJ0
咲「いっそ金券ショップにでも売ろうかな…」
安く買い叩かれるだろうが、それでも現金が手に入る。
中々いいアイデアのように思えたが、実行するには例の編集長が怖かった。
昔は大手政治部の記者として鳴らしていたらしいあの男は、
時折とんでもないところからとんでもない情報を仕入れてくる。
警察の会議机の下に潜り込んで事件をすっぱ抜いたという過去は伊達ではないのだ。
咲が商品券を売り飛ばしたことを気づかれる恐れは大いにある。
どうしようもなくなって、咲はごろりと横を向いた。
このところ片づけをサボっていたせいで、部屋には読みかけの本が散らばっている。
目の前にあるその一つが妙に気になって、咲は手に取った。
パラパラとページを捲っていると、あるフレーズが目にとまった。
咲「ふらんすへ行きたしと思えども、ふらんすはあまりに遠し……」
荻原朔太郎の詩「旅情」の一文である。
咲「ふらんすは、あまりに遠し……」
彼の生きた時代には、海外へ行くなら船が基本だった。
たどり着くだけで数ヶ月はかかる、長い長い旅路である。
咲「まぁ、今だってフランスは遠い国だけど……」
それでも現代には飛行機がある。
乗り継ぎ便を利用したとしても、10数時間しかかからない。
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