10: ◆8HmEy52dzA[saga]
2014/09/16(火) 20:03:29.52 ID:sCBd7Qvo0
「わかりました。拝承します」
「ではこれ、ウサミン星の住所です」
千川さんが直筆で書いたらしきメモを手渡される。
アイドルの個人情報は極秘情報だ。
プロデューサーである僕でもおいそれと知ることのできない代物で、実際にも僕が知っているのは迎えに行く必要がある引きこもりの双葉くらいのものである。
個人情報の秘匿という面は勿論、万が一、一般人に知れ渡ったら大変どころの騒ぎではない。
受け取ったメモに視線を走らせる。
『⚪︎⚪︎県⚪︎⚪︎市⚪︎⚪︎町三丁目 メゾン・ウサミン 202号室』
「…………」
これは、何処から突っ込んだらいいのだろうか。
すげえなウサミン星。
惑星でも恒星でもなく建物に収まるサイズだとは。
安部さんもコンパクトな人だし、きっとウサミン星では物質の大きさを自由に変えられる技術が発達しているのだろう。
でなければ安部さんのトランジスタグラマーぶりは説明出来まい。
メモの内容を携帯に移すと、業務用シュレッダーにかける。
「じゃあ、とりあえず様子見て来ますね」
「お願いしますね……弱ってるからって襲ったりしちゃダメですよ?」
ちゅるちゅると栄養ドリンクを吸いながら虚ろな眼で笑う千川さん、超怖い。
ライブの時の星と同じ眼をしていた。
思わず背筋に冷たい汗が流れる。
「ぼ、僕を誰だと思ってるんですか?」
「そうでしたね。プロデューサーさんは紳士と言う名のへたれでしたね」
「…………」
「一応褒め言葉ですよ?」
男として信頼している、と言いたいのだろうか。
とは言え同時に男として馬鹿にされているのも間違いない。
……反論したいのはやまやまだが弱っているとは言え相手は千川さん。
勝ち目なんてある筈もないし、勝ったところで後が怖すぎるので無言で事務所を出る。
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