14: ◆8HmEy52dzA[saga]
2014/09/16(火) 20:14:14.73 ID:sCBd7Qvo0
「なんじゃ、やかましいの……」
「忍……」
と、ビームの轟音か、もしくはエネルギー的な何かを感じ取ったのか、忍が昼間だと言うのに眠そうに影から出て来た。
顔を手首でこすりつつ、不機嫌な視線を向ける忍。
と、安部さんが忍を見て固まっていた。
「し、忍ちゃんが何もないところから……」
「あ…………」
しまった、忍自体は僕の親戚ということで事務所公認の存在だが、影から出るところを見られたのは少々まずい。
……仕方ない、この際だ。
誤魔化すよりも正直に話した方が真実味も増すだろうし、何より今は忍の手も借りたい。
その為には安部さんの理解が必要だ。
「安部さん……さっき、僕がこういう状況に慣れている、って言いましたよね」
「え? え、ええ、はい」
「実は僕は人間じゃありません。忍もそうです。二人とも、限りなく人間に近くはあるけど、違う。だから、多少なりとも今の安部さんの力にもなれると思います」
「吸、血、鬼……?」
「信じて、くれますか」
ごくり、と嚥下の音が安部さんの喉から聞こえた。
「…………はい」
……良かった。
場の雰囲気とは言え、吹聴して回る事でもない。
ことが全て済んだら、もう一度きちんと話そう。
可愛くあくびをしている忍に向き直る。
「で、だ。忍」
「なんじゃい」
相当眠いのか、忍はかなり不機嫌のようだった。
「え、っと……その、安部さんの身体が透けて、手からビームが出るようになったんだけどさ……多分怪異関連だとは思うんだ。心当たり、あるか?」
「なんじゃお前様、いい年してビームのひとつも出せんのか」
「えっお前、出せるの!?」
「当たり前じゃろ、儂を誰だと思うておる。手どころか目や鼻や耳から出すことも出来るぞ」
「マジでっ!?」
思わず身を乗り出してしまった。
目からビーム。
素晴らしい。
男の夢と言い換えてもいい。
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