15: ◆8HmEy52dzA[saga]
2014/09/16(火) 20:16:13.19 ID:sCBd7Qvo0
「その代わり、目から出したら目が灼け爛れるし、鼻から出したら鼻血が止まらんがの」
「意味ねえ!」
「あ、あの……プロデューサーさん?」
しまった、心躍るキーワードに思わず浮かれてしまった。
僕もまだ子供だな。
でも童心を忘れないって大事なことだと思うんだ。
「で、何か心当たりあるのか?」
「心当たりも何もお前様、こんなものは怪異の仕業などではないわ」
「え?」
怪異が原因じゃ……ない?
「じ、じゃあなんだって言うんだ」
「喜べよお前様、儂らは神の誕生の瞬間を目の当たりにしておるのだぞ?」
ウミガメの産卵よりもレアじゃ、と冗談なのか良くわからない事を口走る忍。
「神って、忍」
「月神。その名の通り月を信仰する人間たちから産まれた神の類じゃ。日本ではツキヨミやツクヨミと呼ばれておる奴がおるの。他にもメソポタミアの月神をシンと呼ぶんじゃが、シュメール語にするとナンナとなる。名前も似ておるし、更に言えばナンナは月神でありながら暦を司る神じゃ。お前様とも関わりがある。ここまで重なるともう偶然ではないのう」
月は、古来よりも神秘的で尊いものとされてきた。
宗教観の違う各国でもその認識はほぼ変わらない。
否定的に受け取られることもあるが、基本的な畏れられている、という点に関しては他の追随を許さない。
何せ、遠すぎる。
人の手が及ばない、それでいて万人の認識の下、空に浮かぶ何よりも目立つ月と太陽は、よく一対の喩えとして持ち出されることも多い。
今でこそ月面に触れることが出来るようになった人類だが、暦を定めてから二千年もの歳月を要している。
「ちょっと……待ってくれ忍。って言うことは、安部さんが、神になろうとしているってことなのか?」
「応。昨夜は満月だったしの、そこのロリ乳娘は月によって『神に選ばれた』のよ。神ならビームくらいお茶の子さいさいじゃろ?」
「わ、私が……神様?」
安部菜々、永遠の十七歳。
彼女は、月に見出された。
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