21: ◆8HmEy52dzA[saga]
2014/09/16(火) 20:27:25.65 ID:sCBd7Qvo0
僕の場合、年齢云々辺りは曖昧だ。
吸血鬼もどきになってから五年あまりが経ったが、元々成長も止まりかけていたので歳を取っているのか微妙なところだ。
大体、毎日付き合っている自分の身体なんて成長しているかどうかわからないものだ。
三十あたりを越えないとわかりそうもない気もする。
しかし、吸血鬼の安部さんか……血を吸われたらウサミン星人になる訳か。
ネズミ算式に増えるウサミン星人。
ちょっといいかも。
ファン共々喜んで噛まれてしまいそうだ。
「なんて、冗談です。羨ましいなんて言ったら忍ちゃんに失礼ですよね」
忍のことについても、僕の過去と共に安部さんには伝えてある。
歳を取らない、すなわち不老不死を求めるのは人間の性なのかも知れない。
死は恐ろしい。
得体が知れないからだ。
だから人に限らず、生物は本能的に死を拒む。
死が甘美なものであれば、これまでも死ぬことに抵抗を覚えないだろう。
そして、その抵抗の最たるものが不老不死の追求だ。
その欲自体を否定する気はさらさら無い。
けれども、死なずに永遠を生きることに果たして意味があるのか、その問いに答えられる相手もこの世にはいない。
それに、不老不死の身体を持った生物は――――いや、それを生物と呼べるのかは些か疑問だが、ともかく彼等は悉く寿命を待たずに死ぬ。
不老不死に寿命があるのか、不死身なのに死ぬのか、という疑問は最もだが、そもそも『絶対に死なない』という前提が間違っている。
生きているからには、どんな形であろうと死はある。
不老不死なんてものは結局幻想であり、『とても死ににくい』程度でしかない。
半永久的な命を持った最強の吸血鬼キスショットでさえ、日の光に焼かれ続ければ死ぬし、最期には僕と半身を共有するという形で死んだ。
死という概念がない神でさえ、人に忘れ去られれば跡形もなく消える。
絶対に死にたくないのなら、命を持たぬ存在になる必要がある。
先程、安部さんがなろうとしていた、概念や現象といったものに、だ。
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