6: ◆8HmEy52dzA[saga]
2014/09/16(火) 19:54:12.96 ID:sCBd7Qvo0
「あ……美味しい。フォションのセイロンなんて久し振りだわ」
「凄いな古澤、紅茶の銘柄なんて香りだけでわかるものなのか?」
「はい、好きな銘柄ですし」
古澤頼子、十七歳。
その年齢に驚くほどの知性的な外見と色気を持ち、それでいて掴み所を露わにしない、何処か羽川を思い出させる少女である。
古澤に対して失礼ではあるが、初めて会った時は年上だと思った程だ。
「雪乃さんからもらって来たんだにぃ☆ ほらほら唯ちゃーん、もっと食べないと大きくなれないょー?」
「諸星、一つ言っておくがそれは僕の分だ」
「あーん☆」
手ずから大槻にケーキをあーんさせるのやは諸星きらり、十七歳。
持ち前の底抜けな明るさとその身長からのインパクトは他のアイドルの追随を物理的にも許さない。
僕にもあーんして欲しいところだが、古澤あたりに白い目で見られそうなのでやめておこう。
「やー、ゆいはもう充分大きいからいいよきらりん。それより菜々ちゃんにあげなよ」
「いや大槻、それ僕の……」
「んもー、細かいこと言わないの」
大槻唯、十七歳。
今時の女の子、という形容がぴったりな、何に対しても緩くて力を抜いてくれるアイドルの筆頭だ。
かと言って不真面目でもないので、これが彼女のスタンスなのだろう。
美嘉ちゃんとは同い年で性格も合うようなので仲がいいのだが、生憎城々崎姉妹は揃ってお仕事だ。
「いえいえ、ナナはもうおなかいっぱいだから、きらりちゃんが食べていいよ」
「安部さんまで……」
安部菜々さんじゅうななさい。
タイプミスで変換と句読点を付け忘れたが大事ないだろう。
安部さんは事務所から電車で一時間くらいの場所にあるウサミン星からやって来たウサミン星人である。
ウサミン星は正確には何処にあるのか、とかウサミン星人の詳細については僕の口から話すことは憚られる。
事務所SSSクラスの機密事項なのだ。
うっかり口を滑らせたが最期、千川さんによるウシジマくんも裸足で逃げ出す、身に覚えのない取り立てに追われる事となるらしい。
このクラスの機密事項には他にも、千川さんの詳細プロフィールや双葉のスリーサイズなどが挙げられる。
今更ながら何をしているのかと言うと、諸星が双葉に『杏ちゃんは十七歳に見えないよね』と言ったのを皮切りに、事務所にいた十七歳をかき集めてのお茶会に至ったのだ。
集まったのは双葉に諸星、日野、古澤、三村、大槻、安部さんの七人だけだったが人数的には申し分ない。
なんでその場に僕がいるのかと問われれば、僕が参加したかったから以外の理由などない。
十七歳。
素晴らしい響きだ。
女の子の紹介欄に『十七歳』と記載されているだけで心が踊る。
それは恐らく、十七歳という年齢が人間の人生において最も多感な時期だからだろう。
僕も十七歳の時に本当に色々あった。
キスショットと出会ったのも誕生日を迎える前月の三月だから、十七歳の時だ。
言い換えると、僕の人間としての人生は十七歳で終わっている。
ある意味、享年とも言っていい。
それくらい、十七歳とは重要な時期だ。
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