16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[sage]
2014/09/17(水) 04:12:50.65 ID:zcM9nRFH0
「今日、ここに来た理由……なんとなくわかるよ」
「……」
「あそこだよな……」
「……はい」
俺たちの目線の先には、おんぼろの野外ステージ。
鳴かず飛ばずだった頃の千早に舞い込んだ、初めての百人規模の営業。
だが、結果は惨憺たるものだった。
「「「はじめましてー、新人アイドルの如月千早でーす、よろしくおねがいしまーす」」」
人っ子ひとりいない客席。
たまに立ち止まる人はいても、すぐに立ち去ってしまう。
俺はてっきり、この無愛想な娘は途中で仕事を投げ出すと思った。
だがその壇上で、千早は予定の四十五分間きっちりとパフォーマンスを続けたのだ。
「「「ありがとうございましたー、またよろしくおねがいしまーす」」」
その時俺は思い知った。
俺がこの子のことをなにも知らないということを。
笑顔を見てみたいという言葉の裏で、担当アイドルをなにも信じていなかったということを。
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