過去ログ - ミュウツー『……これは、逆襲だ』 第二幕
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423: ◆/D3JAdPz6s[saga]
2015/10/05(月) 01:58:54.50 ID:f3Lfubnuo

ミュウツーには、彼らがなんの話をしているのか、わからない。

ジュプトルが何を言おうとしているのかも、見当がつかなかった。

だが、ダゲキには話が通じているようだ。


腕を伸ばせば届く程度の距離にいる。

尻尾を振り回せば当たる位置にいる。

にもかかわらず、今この瞬間、彼らがやけに遠く感じた。

以前にも覚えた、疎外感というやつだろうか。


いや、それだけではないかもしれない。

道徳的でない、露悪趣味というか、自虐的というか。

不穏当な表現ばかりが思い浮かぶ。

彼らの口振りには、そんな後ろ暗さがあるように思えた。


そうだ。

違うのか、彼らと私は。

いや彼ら同士も、それぞれに少しずつ。

もしくは、大きく、明らかに。


人間に何をされたか。

人間をどう憎んでいるか。

その過程で、彼らが肉体や自尊心をどう傷つけられたか。

出発点が違う。

だから、到達点が違うのも当然だ。


わからないものは、わからない。

それはお互い様だ。


ミュウツー『いいニンゲンなど、いないと思ったほうがいい』


ヨノワールを振り返る。

ジュプトルとダゲキを視界に入れないように振り向くのに、無駄な苦労をする。


表情はよくわからないが、困っているらしい。

大きな目玉の上に被さるまぶたが、不思議な皺を刻んでいる。

心許ない明かりだけでもわかるくらいには、暗さに目が慣れてきていた。




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