1: ◆fh8RBRxwxc
2014/09/26(金) 00:17:35.12 ID:ezeJ0SCAo
僕が彼女と出会ったのは、リチャードの誕生日パーティーが初めてだった。リチャードは僕の友人で、ちょっとお茶目でワイルドな、中々イカした奴だ。まあ、リチャードのことは忘れてもらって構わない。この話には関わらない人間だから。
「貴方はどの箱に入っているの?」
いきなりなんだ、と思うだろう。実際僕もそう思った。
「残念ながら、僕にはおもちゃ箱に入って一夜を過ごす趣味はないんだ」
「でも、貴方はジャックでしょう?」
「ジャックは箱に入らないといけない、なんて法律はないよ」
「ジャックは箱に入ってはいけない、なんて法律もないわ」
制定されるはずもない。
「それで、僕が箱に入っていたとして、君はそれをどうしたいんだい?」
「開ける」
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2: ◆fh8RBRxwxc
2014/09/26(金) 00:18:21.73 ID:ezeJ0SCAo
シンプルかつ堅固な答え。こんな場面でさえなければ賞賛したいほどだ。
「確かに、閉まっているものを開こうとするのは、人の好奇心に照らし合わせても何も間違った行動ではないね」
「でしょう」
「それで、開けるだけかい?」
3: ◆fh8RBRxwxc
2014/09/26(金) 00:19:37.06 ID:ezeJ0SCAo
***
量子力学の発展のためにシュレディンガーさんとかいう博士が実験をしたらしい。
4: ◆fh8RBRxwxc
2014/09/26(金) 00:20:10.12 ID:ezeJ0SCAo
ちなみに、この話にはたくさんの異説がある。
ジャック君が自力で箱を壊して戻ってきたとする説。
毒ガスは流れたが、たまたまガスマスクを持っていたジャック君が一難を逃れたという説。
5: ◆fh8RBRxwxc
2014/09/26(金) 00:20:51.60 ID:ezeJ0SCAo
「君自身が箱に入ればいいんじゃないかな」
「蟻に蟻の巣は観察できないの」
6: ◆fh8RBRxwxc
2014/09/26(金) 00:21:24.49 ID:ezeJ0SCAo
「もし、僕がジャックでないとして、それなら僕は箱に入らなくていいのかい」
彼女に問う。
「全ての貴方がジャックではないと限らない」
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