過去ログ - にこ「余命幾許もない私と」真姫「私」
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70: ◆gDTYF1szXU[saga]
2014/11/08(土) 23:02:23.74 ID:QDIR+svQO
「真姫ちゃん、どこかケガしたの?」

割れた細かい破片を拾い集めながら、真姫ちゃんの表情を窺う。基本的に私以外のメンバーの前では気丈に振る舞う彼女だけど、今日はどうやらそうもいかないらしい。

「違うの、ごめんなさい。にこちゃんにも、エリーにも、みんなにも申し訳なくて」

彼女はついに、両手で瞳を覆ってしまった。

「お祝いだからって、エリーが一生懸命準備してくれたのに……」

「ちょ、ちょっと!真姫ちゃん!?」

(お祝いだったら泣かないでよ!)

もうっ!バカ真姫ちゃん!仕方ないんだから!

「もう……怒ってなんかいないわよ。ほら」

あんまりみんなの前ではしたくなかったけど、仕方ない。いつもより少し強く、私は真姫ちゃんを抱き締めた。

「絵里、あんたもこっち来なさいよ。ほら!」

「わ、私!?わ、わかったわ!」

ハラショー!なんて言いながら、絵里も遠慮がちに真姫ちゃんを抱き締める。

「ねえ真姫ちゃん、絵里も怒ってないわよ。もちろん、みんなだってね」

絵面だけ見ると、私と絵里で真姫ちゃんを取り合っているみたいだ。

「グラタンは残念だけど、また作れるわ。今度はにこが手伝ってあげるから」

それを聞くと真姫ちゃんは顔を上げた。どこまでも現金な子だと思った。

「……デートもしてくれる?」

絵里には聞こえないように、小声のやり取り。

「うん、デートとは別で付き合ってあげる」

いい加減、3人で抱き合うこの体勢に疲れてきた。バランスの悪いスクラムを組んでいるみたいで酷く無理をしているのだ。

「……にこちゃん大好き。エリーもありがとう」

そう漏らして、真姫ちゃんは最後にもう一回だけ泣いた。明日、私と絵里はきっと筋肉痛に苦しむことになる。半ば確信に近い、そんな予感がした。


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